「早瀬の家」のことを誌面にまとめる。

現在WAGAYAという住宅雑誌に掲載される

「早瀬の家」のページ校正を考えています。

「早瀬の家」は建物の端部に内庭という

外部空間があって、隣の部屋の様に

身近な距離感でつくることによって、

外に生活の場が広がっていく住宅です。

ブログでも、たくさんの文章や写真などで

ささいな部分までご紹介しましたが、

雑誌の中のたった4ページにまとめるのは

結構難しいもので、伝える部分と省く部分を

選ばなければなりません。(毎回の事ですが)

その作業のときに役立つのが設計の過程や

お打ち合わせの議事録だったりします。

僕がその時なにを考えていて、

それに対してクライアントさんは

どんなことを話したか。

一度始まりの地点まで立ち返ってみることで、

誌面に載せなければいけないポイントが

見えてくることがあります。

とはいえ初めて雑誌を手に取った人が

このページを見た時に、

僕が感じて欲しい感覚が伝わるか

やっぱりドキドキしてしまいますが。。。

大きな窓の向こうにもうひとつ部屋の様な

空間があって、木が植えられている・・・。

見た目にも使い方も内外が緩やかに繋がっていて、

この少し不思議な環境の中で

ご飯を食べたり遊んだり休んだり、

とてもありふれた日常が始まっている!

このワクワクする感覚が

少しでも伝わると嬉しいなぁ。

 

葛西 瑞都

 
 

空間の感じ方に変化があること

今回は「本町の家」の内部について。

内部空間と同じ大きさの中庭が

寄り添っている建物なので

内部の各スペースも、

中庭がどう見えるか?とか

中庭からどう見えるか?とか、

頭の中で内と外を行ったり来たり

しながら考えました。

内部ではできるだけ様々な感じ方の

空間をつくろうとしています。

吹抜けで勾配屋根の迫力を感じられる

リビングや、小上がりで天井高さの低い和室、

中庭を間近に眺められるダイニング、

大きな窓からの光が充満する

2階の渡り廊下など。様々な性質の

居場所をつくると、

その場所の使い方や家族同士の距離感や

中庭との関係に多様性が生まれると

いつの間にか無意識に考えているようです。

多様性があると、想像していなかった

色々な楽しい出来事が

起こりそうだからでしょうか。。。

そしてこの「本町の家」で一番期待しているのは、

その多様性の中で内と外が混ざり合った

新しいライフスタイルが生まれることです。

天気の良い日に窓を全開すると、

外まで住空間がブワっと広がっていくような

感覚があって、いつの間にか

居間の続きとして庭で寛いだり、

子供が遊んだりするような感じです。

空で街と繋がっているこの中庭を、

まるで内部の様に感じたり使ったりできるならば、

物理的な建物の大きさや床面積なんていうものは

全然重要じゃないと考えています。

街角の交差点にひっそりと佇むこの住宅は

密かに街全体へ広がっていくんだ!

と信じて設計しています。

あ~、妄想は楽しいし、

妄想が現実になるのはもっと楽しいなぁ・・・。

 

葛西 瑞都

 
 

「本町の家」

前回も少しご紹介した「本町の家」

の模型が完成して、ワクワクが納まら

なかったので、今回も

「本町の家」のお話です。

敷地は街の大通りから一本入った、

人通りも車通りも多い道路の一角にあり、

さらに細い道にも接している、

いわゆる二面接道の敷地です。

建物自体の設計以上に、

敷地にどのように配置するかが

大きな課題でした。

僕としては、住宅を道路からなるべく離して、

大きな窓はカーテンで閉じるような外観は

つくりたくありませんでした。

住人が周辺地域を信用していないような

雰囲気になるからです。

そこで、内部と同じ大きさの外部空間を持つ

住宅を提案しました。

住宅と街との間に大きな中庭を配置することで、

お互いの中間領域の様な空間をつくっています。

歩行者の空を狭くしないよう建物の高さを

極力抑え、屋根には大きく育った中庭の緑を

街と共有できるよう大きな開口を設けました。

住み手にとっては周囲からの視線や騒音を

気にすることなく、部屋着のまま庭にふらっと

出られるような安心感を。街にとっては

このお家がある事で、

いつの間にか少し風景が豊かになっているように。

派手な装飾や奇抜な形の「目立つ建物」ではなくて、

周辺と静かに調和しつつも

「際立つ建物」になれば良いと思います。

 

葛西 瑞都