内部と外部を等価に考える。

久しぶりのブログになってしまいました。

さて、最近設計させていただく住宅は

実例のオープンハウスや掲載雑誌の

影響もあってか、中庭やテラスの様な外部空間と

室内とが流動的に繋がっている事が

多いような気がしています。

普段から建物だけではなく敷地や周辺環境に

対しても気を配っていますが、

内と外が繋がる空間の場合、

どのように接しているか、

その関係性自体の考え方から設計するように

しています。

そんな中、平川市で工事中の「本町の家」という

住宅は、少し今までとは違う関係性を考えていて、

今回はそのことを少し書いてみたいと思います。

「本町の家」は中庭のある家型の形をした

住宅です。

通常は庭やテラスなどの外部空間を

どう計画するか考える時、

先に内部のボリュームを考えて、

外部はそのボリュームの真ん中をくりぬいたり、

端に寄せたりして、

「内部に対してどう配置するか?」

と考えているですが、

「本町の家」では内部と外部の優先順位を

等価に扱って設計する事をテーマにしています。

敷地の中に全体の縁取りとなる壁を

ぐるっと廻して、その中の半分を室内、半分を

中庭にするという、とてもシンプルな考え方です。

同時に出来上がる内と外とに優先順位はありません。

そして内部はもちろんですが外部も内部と同じ位の

密度で設計しています。

例えばリビングを考えるようにコンクリート土間の

テラスのことを考えたり、家具の置き方を考えるように

植栽の配置を決めたり。

内外を同じ比重で考えてみると、なにかあたらしい概念で

家づくりができそうな、

楽しいことが起こりそうな気がしています。

あたらしい広さの感じ方のこと、

あたらしい家族同士の距離感を、

シンプルな構成でつくること。 

完成が楽しみです!

 

葛西 瑞都

 
 

合言葉は「せっかくだから」

さて、「早瀬の家」は一段落し、建て主さんが

忙しく引越し中だそうで、後で住まい方を

見学させていただくのが楽しみです!

 

さて今回は、いつもやっていることですが、

模型写真と完成写真を並べて比べて、

感慨深く振り返ろうと思います。。。

 

と、あともうひとつ。

僕や兄の瑞樹が建て主さんと考えた家は、

いつも決まって造るのが難しいんです。

図面や模型を職人さんに見せただけで、

「大変そうだ・・・」

という心の声が聞こえてきます。

たまに肉声で聞こえますし。

 

実際に現場で作業するのは職人さん達なわけで、

たしかに気持ちはわかります。

でも、とびきりオーダーメイドの気持ち良い空間を

造ることは簡単なわけないので、

設計者は誰よりも強い気持ちで

みんなと向き合わなければいけません。

例えば階段を造るとき、難しくて大変な方法と、

簡単で楽な方法があるとして、出来栄えが変わるなら

難しくて大変な方法で造ってもらうしかありません。

 

そのときに僕にとって大事なキーワードが

「せっかくだから」。

職人さん達にとってはたくさんある現場のひとつなだけ

かもしれないけれど、

建て主さんにとっては一生の宝物になるわけで、

「せっかくだから、難しい方に!」

というのが何となく、

僕の芯になっている気がしています。。。

 

前置きが長くなってしましたが、模型写真と実物写真を

交互に掲載していきます。

風除室の木製外壁と木製建具も「せっかくだから」。

土間のセルフペイントも「せっかくだから」。

木の壁で仕上げた階段も「せっかくだから」。

アーチ型の出入口も「せっかくだから」。

「せっかくだから」キッチンは2本とも手造りで。

「せっかくだから」高い天井には木を張って。

「せっかくだから」勝手口は板張りに。

「せっかくだから」植栽はたっぷりと。あと飛び石も。

と、いろんなところに「せっかくだから」があります。

 

これからも、「せっかくだから」を

続けていきたいと思います。

せっかくだから。

 

葛西 瑞都

 
 

ようこそ、「早瀬の家」へ!後編

前編の続きです!

階段を上がって2階へ。。。

階段を上がる途中、個人的に大好きな瞬間があります。

それはリビングの上部に架かっている梁を横目に

通り過ぎる瞬間。

下階から上階へ切り替わる感覚や、

小上がりサブリビング下部の誰のものでもない空間を

眺める感じがいいんです。

吹抜けに架かるサブリビングへの渡り廊下部分は、

梁の上にウッドデッキを敷いただけの簡単な造りです。

独特の浮遊感があって、歩くだけで少し楽しく感じます。

渡り廊下の向こうには全面開口で内庭と繋がるサブリビング。

床が60cm程上がっていて天井も高い、屋根裏部屋の様な

雰囲気を目指した場所です。それではサブリビングへ。

階段の途中、隙間から1階の内庭がちらっと見えます。

部屋の面積はそんなに大きくないのですが、凄い開放感!

床がラワン合板張り、天井がシナ合板張りの

シンプルな空間です。

2つあるバルコニーは渡り廊下と同じウッドデッキを

敷いてあります。

外壁でくるっと包んで、天井は低く抑えて、

外にある小さな部屋のようにつくりました。

テラスに出てみると・・・

1階にいる家族と楽しい繋がりが生まれそうです。

当たり前のことですが、2階建ての住宅は

1階にいるときには地面が近く、

2階に上がると空が近くなります。

「早瀬の家」では特にそれをつよく感じられます。

↓ちなみ1階から見上げた空はこんな感じです。

壁面の開口は風景を様々に切り取ります。


ということで長々とご紹介させていただきました。

オープンハウスに来ていただいた方はわかると

思いますが、やはり写真の持つ情報量は、

実体験にはかないません。

(僕の写真の撮り方のせいも多々ありますが)

でも、このお家の持つ気持ち良さそうな空気感

みたいなものは少しだけでも伝わったかな?と

思います。 

 

さぁ!これから始まる家づくりも頑張らなくては!

葛西 瑞都