mizuiro architects

山の道具のショップ「脈々」のプロジェクトをご紹介します。

弘前市百沢地区にある築38年の保養所だった2階建ての建物を

リノベーションして、山の道具を販売するショップと

小さなカフェスペース、オーナー家族の住居へ変えていきます。

既存の建物は1,2階とも中廊下形式でたくさんの個室が

造られていて、昼間でも薄暗く風通しも良くありませんでした。

初めは1階の一部を店舗、2階の一部を住居とする予定で、

80坪近くある床面積の中で使う部屋と使わない部屋を

決めていくようなイメージでした。

でもそうすると見栄えの良い表側の後ろに薄暗い

ブラックボックスを隠すような不透明な雰囲気に

なるようで、しばらく悩んでいました。

建物全体を巻き込んで、空間を開放的に感じられる

透明感のある空間構成を、ローコストで実現したいと

考えていました。

そこで必要となるプログラムと床面積を整理してみると、

1階の床面積だけで全てカバーできることがわかりました。

1階にすべての機能を集約してフリーになった2階は

床と天井を解体して1階とつなぎ、

大きな吹抜けのがらんどうをつくりだす。

すると今まで中廊下形式で昼間でも暗かった場所に

光も風も届いて、健康的な明るい空間になると想像できました。

2階の外周部には「回廊」という細い通路をくるりとまわして

全ての窓を開け閉めできるように。

元々2階の個室専用だった眺めの良い大きな窓は、

1階から空を見上げられるハイサイドライトになる。

吹抜けに浮かんでいる既存の構造体は、

既存の中廊下形式の記憶を残した自然なインテリア。

減築することが直接的に空間をつくることになる。

全体の床面積は3割も少なくなるし

部屋数も半分以下になるけれど、

空間体験としては何倍にも拡張される。

例えば新築の場合、必要な床面積の合計がそのまま

建物自体の大きさとイコールになります。

でも今回のプロジェクトでは

初めから建物という外殻があって、

その中をほぐしながらどんどんオープンにしていく。

 

スペースとして用途の決められた下階から

何も決められていない大きな上階を見上げるとき、

それは室内というよりは環境のように感じるかもしれない。

この既存の建物、この建て主さん、このプログラム、

そして新築ではなくリノベーションだからこそ

生み出されるあたらしい空間を

早く見てみたいと思っています。

拡張する減築について。

 

 

 

現在解体工事中。

これから2階の床が無くなっていきます。

葛西 瑞都