元々そこにあるもので空間をつくる
青森県弘前市の古くから住宅が建ち並ぶ地域に
100年以上前から街の一角にあった重厚で立派な蔵。
この蔵と隣接する玄関棟を併せてカフェ&バーに変えていく計画でした。
既存の建物は当時の作り手のこだわりが現代でも随所に感じられて
経年による古い雰囲気は新築ではつくれない価値だと捉え
新しい材料の持ち込みを極力抑えて空間をつくっていく事としました。
2階建ての蔵部分は内装の仕上げをそのまま活かした古さを感じられる客席です。
大窓付近の床板を10㎡ほど外して新たに吹き抜けをつくりだし
1階席と2階席がアットホームにつながる空間としています。
大窓から最も離れた位置にある階段は薄暗く陰湿な雰囲気であったため
上がりきった先の天井面に新たに天窓を設け、柔らかな光を取り入れています。
ソファが置かれた2階席はリビングのように寛ぐ居場所。
低い天井高さと巨大な棟木梁が印象的な空間です。
玄関棟にはオープンキッチンの巨大なカウンターが置かれています。
蔵の2階で外した床板をカウンターの立ち上がり部分に再利用することで
「古いこと」をポジティブでシンボリックに表現しています。
カウンター高さを少し高めに設定することでキッチン内が丸見えにならず
お客によってはこのカウンターでオーナーと会話しながら
カフェメニューやアルコールを楽しむことができます。
永い間、地域の人々に親しまれながらこの場所にあった建築。
これからは地元の学生達や仕事終わりの方々、カフェが好きな人、音楽が好きな人、観光客など
多種多様な人々が集まるコミュニティのハブになっていけるように
元々備わっていた経年の深みを抽出して再定義するようにデザインしました。

















