2012年

「高田の家」 5つ庭の住まい。

現在基礎工事が進行中の「高田の家」を

ご紹介します。

敷地は弘前市の市街地から少し通りを入った

住宅地にあります。周りには既に住宅などの

建物が立ち並んでいるため、空を狭める2階

建てではなく高さを抑えた平屋建てをご提案

しました。

建て主は当初から中庭のある生活、いわゆ

るコートハウスに対する憧れがあり、防犯上

の理由からもプライバシーの保たれた外部

空間をご希望でした。

僕は以前から雑誌やテレビでなどで大きな中庭を

内部空間がくるっと包んでいる形式の住宅を見る

たびに、何となく中と外の関係に窮屈さを感じて

いました。中庭が建物に閉じ込められている様な

雰囲気で、中庭に出ても少し開放感が無いような

気がしていました。

そこで提案したのが、大きな中庭をいくつかに

分けてそれぞれに違う役割を与え、それらを

各生活ゾーンの間にはめ込んだプランです。

LDK、ベッドルーム、水廻り、ゲストルームなどは

中庭によって柔らかく分けられ、部屋を移動すると

必ずいくつかの中庭のそばを通ることになります。

また全ての居室が中庭に面しています。

従来の内部が中庭を囲む関係だけではなくて

内部が中庭に囲まれる部分をつくることで、風通し

の良い開放的な空間になると考えました。

視線の抜けにも配慮していて、玄関→中庭→

多目的スペース→中庭→主寝室→外部、という

ような視線が貫通する部分をつくっています。

各中庭に与えた役割としては、

①最も広く家族みんなでワイワイ騒げる、

シンボルツリーのある中庭。

②浴室や和室から眺める坪庭の様な中庭。

③物干しができて、上部にはロフトから使える

小さなベランダがある中庭。

④リビングのテレビボードの先にある、植栽の

彩りを楽しむ中庭。

⑤2つある子供室からのみ出入りできる、子供達

専用の中庭。

という感じです。

動線としては最も広い中庭を含むとても大きな

回遊動線(1周約20メートル)を中心に、それぞれの

ゾーンに分岐していく動線です。体験としては

ひとつの建物の中を歩き回るというよりは、小さな

公園を散策するような感覚になると良いなぁと

考えています。ある建築家が「おおらかな動線を持つ

30坪の住宅は40坪の総2階建てに匹敵する広がり

を持つ」と執筆しているのですが、この住宅では内部に

外部が点在することでどこまでも内部空間が延長

されていくような広がりが生まれればと思います。

葛西 瑞都