おかげさまで最近結構忙しく、久々の書き込みです。
毎月お送りしているお手紙「mutsuhome letter」より。
かなり長い文章になってしまったので、
休み休み読んでみてください。。。
今回は現在進行中のプロジェクトのことではなくて、
僕の設計している時のモヤモヤとした感覚の
ことや、考え方の拠り所にしていることに
ついて書きたいと思います。
普段であれば進行中の現場の写真や
模型写真を並べてそれを説明するように
文章にしていますが、
自分の考えや悩みを客観的に眺めて、
それを文字に起こしてみるのは難しいです。
なんだか読みづらくて、結局何を言いたいのか
わからなくなってしまうかも知れませんが、
書いてみます。。。
まずは設計の始まりから。
オープンハウスやギャラリーに訪ねて
来てくれたご家族と出会って、世間話の
ような感覚で新しいお家に対する思いや
ご希望を伺います。
土地がまだ決まっていない場合には、
土地探しからお手伝いしたりします。
だいたいの資金計画や土地が決まったら、
いよいよお家のヒアリング。
設計の要となる間取りのご希望などを伺って、
いよいよ設計が始まります。
土地の形状をパソコンの画面上に落とし込み、
ヒアリングの情報を書き込んだ資料を
そばに置きながらあ~でもないこ~でもないと
頭の中の迷宮に入っていきます。
敷地に対する建物の大きさや形はどうか?
街並みの景観は?
ご近所さんに迷惑が掛からないような、
建物のぼんやりとした外形を決めながら、
同時に内部構成も考えていきます。
ヒアリングで伺った要望もなるべく取り入れ、
なんとか上手く色々なことが納まったなぁと
いうプランがそのうちできるのですが、
実はまだ「途中」です。
どこまでが途中でどこが完成なのかは
僕の中にしか答えは無いですが、ただ部屋を
パズルのように並び替えるような安易な
計画では、建て主さんの予想も想像も
超えるような楽しい提案はできないと思います。
じゃあなぜヒアリングで得た要望を
盛り込んだはずの図面に
魅力を感じないのでしょうか?
このへんが文章にするのが難しいところで、
一番大事な部分です。
僕は毎回設計する時に、なにか新しい空間を
提案できないかと考えています。
ここで言う「新しさ」というのは、
誰も見たこと無い奇抜なデザインのこと
ではなくて、その建て主だけにぴったり
フィットする、もしくは似合う空間のことです。
外に出ると同じ形で壁や屋根の色だけ違う
建売住宅が並ぶ住宅地がたくさんありますが、
そこで暮らす人達のライフスタイルは二つとして
同じものは無いはずです。
きっとその建て主さんのライフスタイルに
ピッタリ合う空間があるはずで、多分本人も
それがどういうものなのか考える機会もないまま、
わからないまま建物に人が合わせて暮らしています。
僕はそうではなくて、
その建て主だけに合う空間を発明したい。
建築はなんだか敷居が高く感じられがちで、
そのせいで抑えられている無意識の欲望の
ようなものがあると思います。
それが上手く引き出されて、その建て主だけに
似合う自然な空間をつくることが、
僕の考える「新しさ」だと思います。
そんな答えがどこにあるかも
わからないようなものをつくるのだから、
ヒアリングで得た要望を盛り込んだだけでは
納得できるわけがありません。
当然ながら、僕の独りよがりの提案で
良いわけもありません。
モヤモヤモヤ・・・
そしていよいよ初回プレゼンテーションの時。
伸るか反るか一発勝負!・・ではないんです。
特徴的なプランをご提案することが
ほとんどですが、どちらかというと
プラン自体よりも、今後家を一緒に考えていく
僕のスタンスを感じて欲しいなぁと思っています。
だから正直プランがそのまま実現するとは
全然考えていません。
建て主さん側も図面を眺めて初めて生まれる
大小様々な要望が必ずあって、初回のプランは
その要望を生むきっかけです。
ただ、凡庸で底の浅い提案では
そんなきっかけすら生まれないので、
最初から全力で取り組みます。
そして紆余曲折を経て形として家が完成し、
ふと今までを振り返って、自己採点と
次への目標を見つけることを繰り返しています。
その次へ繋がるっていうところが唯一拠り所。
以上、僕の頭の中をご紹介しました。
長文すみませんでした。はぁ~疲れました!
葛西 瑞都
2014年6月 5日 (木曜日)