前回も少しご紹介した「本町の家」
の模型が完成して、ワクワクが納まら
なかったので、今回も
「本町の家」のお話です。
敷地は街の大通りから一本入った、
人通りも車通りも多い道路の一角にあり、
さらに細い道にも接している、
いわゆる二面接道の敷地です。
建物自体の設計以上に、
敷地にどのように配置するかが
大きな課題でした。
僕としては、住宅を道路からなるべく離して、
大きな窓はカーテンで閉じるような外観は
つくりたくありませんでした。
住人が周辺地域を信用していないような
雰囲気になるからです。
そこで、内部と同じ大きさの外部空間を持つ
住宅を提案しました。
住宅と街との間に大きな中庭を配置することで、
お互いの中間領域の様な空間をつくっています。
歩行者の空を狭くしないよう建物の高さを
極力抑え、屋根には大きく育った中庭の緑を
街と共有できるよう大きな開口を設けました。
住み手にとっては周囲からの視線や騒音を
気にすることなく、部屋着のまま庭にふらっと
出られるような安心感を。街にとっては
このお家がある事で、
いつの間にか少し風景が豊かになっているように。
派手な装飾や奇抜な形の「目立つ建物」ではなくて、
周辺と静かに調和しつつも
「際立つ建物」になれば良いと思います。
葛西 瑞都
2015年12月18日 (金曜日)