住宅雑誌 Replan(リプラン)に「在府町の家」が掲載されています。

「在府町の家」が掲載された住宅雑誌リプランが

本屋さんに並んでいます!

今号のテーマは「ここで暮らす価値」。

「在府町の家」は空から見下ろすと内より外の方が大きい、

外部が暮らしの真ん中にある住宅です。

こじんまりとした内部と、とても開放的な外部。

建て主さんに合わせてつくったこの環境は

「ここで暮らす価値」というテーマに上手く

答えている実例のひとつのような気がして、

僕としてもお気に入りの誌面になりました。

 

本屋さんで見かけたら、ぜひご一読を!

 

葛西 瑞都

 

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新しいギャラリー&オフィス「mizuiro gallery」見学会のお知らせ

現在進行中の方々やOBさんにはハガキで

お知らせもしましたが、やっとのことで

移転が終わった新しいオフィス&ギャラリーの

見学会を開催致します。

9月1日 10:00~18:00

弘前市大字上瓦ヶ町11-2 スペースデネガ内

(敷地内の駐車場が使用できます)

前にこのプロジェクトについてブログに書いてから、

2つのポイントが大きく変わりました。

 

1つ目は、使用した材木について。

当社で進行中のプロジェクトの中で

解体予定の建物の持ち主さんに

お願いして古い材木を譲っていただいたのですが、

他の現場で解体する建物の物も使わせていただける事になり

築年数が約30年、60年、100年の3種類の古材を

入手できることになりました。

100年前の材木は当時使われていた囲炉裏の煤で真っ黒でしたが、

そのおかげでとても良い状態でした。

現場から運んだ材木を刻んで、

洗って、

乾かして研磨しました。

木肌には当時の大工さんが手作業で削った「ちょうな掛け」の跡が

残っていて、ウロコの様な模様が良い感じです。

それを積み木の様に積み上げて、大きな本棚の完成。

もう1つ変わったポイントは、打ち合わせ用テーブルのデザインです。

模型の段階では鏡を使ったものでしたが、

いざ造り始めたタイミングで

mizuiro architects としてのオリジナリティが欲しくなってしまい、

急遽変更しました。

古材で組んだ深さ70mmの天板の底に石を敷き詰めて、

いっぱいまで水を張った大きな木桶の様なデザインです。

フラットな水面の上に図面や模型を置いて打合せをします。

初めての人はきっと誰もが底を覗き込みたくなる。。。

仕上げに古い蛇口を立てて完成しました。

たくさんのエポキシ樹脂と石と木材で造られたこのテーブルは

100kgくらいの重さになってしまいましたが、

古材とみず色の水面、、、この空間だけに似合うテーブルが出来ました。

 

ということで、ぜひオープンオフィスにて実物をご覧下さいね!

ちなみに当日は、当社で手がけた2つのカフェ、

青森市浪岡の「羅針盤」さんと

弘前市百沢の「LITTLE NOOK」さんからの

素敵なお土産もご用意しております。

お気軽に遊びに来て下されば嬉しいです!

 

葛西 瑞都

 

 

 
 

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会社の名前について。

いきなりの重大発表になりますが、

今年、2019年の5月から

会社の名前が変わります!


ほんの少しだけ当社の歴史について

ご紹介しますと、

当社は僕達の祖父の代である1961年に

コンクリートブロックに関わる建設会社、

「陸奥ブロック」として創業しました。

父の代である1993年に、住宅の建築に

軸足を置いた「陸奥ホーム」に変更。

10年前くらいから、

長男の瑞穂(現場監督)と、

次男の瑞樹(設計)と、

三男の僕 瑞都(設計)が

加わりました。

ありがたいことに少しずつ仕事も増えてきて、

住宅以外のお話を頂くことも多くなりました。

そこで、元号が変わるちょうどいい

タイミングだし、会社の名前も変えようか!

という流れになったわけです。

新しい会社の名前は、

mizuiro architects (ミズイロ アーキテクツ) です!

アーキテクツという単語は

「建築をつくるひと」という意味。

ミズイロの部分は兄弟の名前の「みず」に

「色」をくっつけて水色。

ここでいう水色は

青色の1種類のことではなくて、

水のように、まわりの環境に合わせて

どんな色にも変わっていくような、

自由な白紙の状態のことです。

更には透明な空のイメージ。

境界線など無い空のように、

内と外の境界や敷地の境界など、

建築を取り巻く様々な境界をこえて

いきたいという意味があります。


その建築のあり方を考え始める時に、

「これまでこうしていたから今回も。」とか、

「これはできないに決まってる。」という

固定的な価値観から抜け出したい。

その環境やクライアントでしかつくれないような、

新しい快適性を考えていく決意表明です。

祖父の代から父の代、そして僕達の世代へ。

求められてきた建築のあり方も変わってきました。

色々なライフスタイルを少し想像するだけでも、

ふだん家にほとんど居ない人、

逆にいつもワイワイの大家族。

街中に小さく暮らす人、

田舎で大きく暮らす人。

車が好きな人、乗らない人。

庭が好きな人、そうでもない人。

本が好きな人、スポーツが好きな人。

人や環境の数の分、必要な建築は違います。

それぞれの人に、模範解答のような同じ建築は

もう合わない。

住宅でも集合住宅でも店舗でもなんでも同じで、

これからはその人に、その環境にだけ合う

あり方を探して、考えていきます!

 

と長々と書きましたが、

皆様には「みずいろさん」と

気軽に覚えていただけると嬉しいです。

ホームページやら名紙やら色々な手続きやら、

5月中に完了するよう頑張ります!

(あと、弘前ギャラリーの移転もです!)

葛西 瑞都

 
 

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反射と透過と屈折。

新しい事務所のレイアウトが

出来上がってきたのでご紹介します!


まず空間を構成する大きなポイントとして、

築年数の古いこの建物に自然に馴染むよう、

新たにつくる家具や什器を

同じ位の古さの解体予定の建物の部材を

使ってつくっていく事を前回書きました。

時間の経過を感じる重々しい質感の空間に、

同じくらいの質感を重ねていく。

そんなことを考えている中で同時に、

空間の印象として軽やかさのようなものを

感じられるようにできないか?とも

考えていました。

今回はそのことを交えながら色々と。

まずは模型棚からです。

模型棚は入口のそばから奥へと続く大きな2段棚です。

解体される建物の部材を使って、木造の建物を

つくるように組み上げます。

高さが1.3m、長さは4.8m。

大きな家具の様な。

小さな建築の様な。

上の写真の右側の模型棚の背後はバックヤードに

なるのですが、その間にはどうしても間仕切壁が

必要になります。

そこで、模型棚の背後の壁面を

高さ1.8mの大きな鏡にします。

視覚的に行き止まりにならずに視線が反射して、

後ろの模型棚や、部屋の一番奥にある大きな窓が

自然に視界に入る。

部屋の突き当たりのスペースは僕達の

作業スペースで、その手前までが

応接のためのスペースです。

これらのスペースは、高さ1.3mの

引き戸で仕切られます。

上の写真ではわかりにくいですが、

引き戸は窓の明るさを損なわないよう

全面がガラス。

僕達の作業スペースは散らかっている事が

多いので、通常の透明ガラスではなく

少し歪みのあるガラスを使って、

向こう側が散らかっているのが

気にならないようにしたい。

ということで、何種類かのガラスを

取り寄せて検討中です。

・・・写真だと歪みがわかりにくいですね。

最後は打合せスペース。

訪問した人と長い時間お話するこのスペースは、

このテーブルがシンボルのような存在です。

水面の様な天板。

他と同様、古材を組んで枠をつくります。

高さ105mmの枠の底に鏡を敷いて、その上に

厚さ70mmでエポキシ樹脂を流し込みます。

工程はまるでコンクリート工事のようです。

透明なまま硬化した樹脂は

通過する光を屈折させるので、

映り込むのは少し歪んだ、

滲んだ柔らかな風景です。

テーブルを囲む人達は、

水面を覗き込むように席に着きます。

樹脂の表面と底板の鏡は70mmも

離れているので、天板に置いた物の

底面が良く見える、不思議な天板です。



大きな鏡や、ゆがみのあるガラス、厚さのある樹脂。

反射、透過、屈折。

重々しい空間の中で、自然に軽やかさを感じられる。


そんな環境で仕事が出来るのを楽しみにしながら、

これから少しずつ工事が始まっていきます!

葛西 瑞都

 

 

 

 

 
 

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古さと新しさについて。

気がつくともう3月!
とても久しぶりのブログになりました。
そしてそのせいか、とても長文です。。。


さて突然ですが、これまで弘前市早稲田で
営業しておりましたギャラリーが、
今年の5月に移転いたします!
早稲田の事務所に来たことがある方は
わかると思いますが、結構手狭だったのです。
模型がたくさんなので。。

ということで、もう少し広さのある所へ
引っ越します。
場所は弘前市の上瓦ヶ町。
土手町のすぐそばにある
「SPACE DENEGA」という建物の一画。
この建物は築30数年の古い平屋のRC造で、
全面レンガ張りの外観です。
建築当時から様々な展示会やイベントも行われる
多目的な用途で、
弘前市民から愛されてきた建物です。
市街地のど真ん中にありながら、
平屋で大きな中庭があったりする。

ふつうこういう立地だと、
容積率いっぱいまで内部にして家賃収入を
算段しそうなものなのに、、、これは良い。。。

すでにブライダルパーティーを企画している
レストランがお隣で営業していて、
空いていたもう一つの部屋が僕達のスペース。
不動産屋さんと一緒に見学したところ、
30数年間の古さが感じられる空間でした。
壁はRC打放しの素地のまま。
天井はそのコンクリートに塗装だけ。
床はウッドデッキ。
がらんどうの空間。。。

ここを仕事場にしていく。



建築をつくりだすときに、「古い」という
ことはネガティブに捉えられがちです。
でも、経年変化や日焼けで色が変わった
床板も、キズや小さな穴や黒ずみのある
壁面も、天井も、窓も、
とても良い雰囲気なのです。
そしてそのどれも、新しくつくり出す事は
できません。
いくらお金を掛けても、
いくら労力を尽くしてもつくれない。

だから、この古い雰囲気は
できるだけ残したいと思いました。
既存のものにはあまり手を掛けないで、
家具や什器、最低限の間仕切りだけで
居場所をつくっていく事にしました。

とりあえずは既存の模型を正確につくってみる。
いつも通り1/20の縮尺の大きな模型と、
パソコンのディスプレイ、
両方を眺めながら考えていきます。
新しい仕事場で叶えたいポイントは、
・模型の展示スペースの拡大
・打合せスペースの拡大
・模型製作スペースの確保
・ゆったりしたデスクスペース
・大きな本棚
おおまかにはこんな感じです。


ディスプレイ上でのゾーニングプランは
割とスムーズにできましたが、
そこで手が止まってしまいました。
構成する材料をどうするか、を考えると、
どうにもしっくりこないのです。
既存の古い空間に、新しい材料でつくった
家具や棚を並べても、どうにも合わない。
つくる家具をサイズダウンして、
なるべく目立たなくしたりするのも違う。
なんというか、仲が悪いものをムリヤリ
隣り合わせにしているような不自然さ。


元々の古いものと、
新たに持ち込むものが自然に
一体的に調和していると
いいんだけどなぁ~と
モンモンとしていたのですが、
ある時に
「新たに持ち込む物も
 古い材料でつくろう!」
と閃きました。
同じくらい年月を重ねた材料を
使うことで、
はじめからこの場所に馴染んでいる、
古くて新しい空間ができると思いました。


ワクワクしながら材料探しを
始めたのですが、
またすぐに行き詰まってしまいました。
古い材料って中々見つからないんですね。
インターネットで検索すると、
古民家を解体した時の材木は
目に入るのですが、
なんだかでかくて立派な一点ものばかり。
選択肢の不自由さを感じました。


またモンモン。
そんなある日、
会社の年間スケジュールを眺めていると
兄の瑞樹が担当している青森市の住宅の
建て替え工事があることを
思い出しました。 
建て替えなので、
元々そこにあった建物は解体されるわけで。
築40年あまりの木造の旧宅。
このお家の構造に使われていた材木を
利用することを思いつきました。

解体工事の途中で現場に入り、
骨組みの状態を注意深く観察しながら、
スーパーマーケットで買い物をするような
気軽さで材木を選んで、切り出す。
キズや欠き込み、割れ、変色、当時の
大工さんのメモ、落書き。
普段であれば欠点である要素が、
今回はそのまま空間を構成する要素になる。

建て主さんからも了承をいただいて、
4月に解体工事が始まります!


さてそうなると、つくるもののイメージが
具体的になってきます。
方向性が決まっている部分をご紹介します。
今回は大きな本棚について。
部屋の突き当たり。
家具のように面を組み合わせて
ハコをつくるのではなく、
古材の梁を奥行きに合わせてカットして
適当に並べ、その上に棚板を載せていく。

既存の壁面を隠さないよう背板は無し。
高さ方向(梁せい)をランダムにすることで
収納する本のサイズに合わせています。
ところどころ棚板を抜いた2層の吹き抜けは、
植物や雑貨を置くところ。

古い梁の断面と
古いコンクリートの壁面と
置かれる物。
みんなが等価に見えるよう検討しています。

また、上部に置いた物の荷重は
複雑なあみだくじの様に下部に伝わります。
あるところは荷重が集中するし、
あるところはシーソーの相手側みたいに
浮き上がろうとする。
元々構造材だった梁材を、
新たな構造材として機能させて設計します。
写真ではわかりにくいですが
この本棚の大きさは
W4.3m、H2.7m程もあります。
僕達の身体スケールではなく、
元からあった壁の大きさに合わせます。

今のところ、一応細かく梁の寸法を
想定していますが、解体当日にならないと
使える部材寸法はわかりません。
思い通りの部材が見つかれば嬉しいし、
見つからなくても、
どうやって実現していくか考えるのは楽しい。
今は組み上げるルールだけを決めておきます。

– 今回はここまで。
現在進行中で、色々なことを思案中です。
この本棚の他にも、作業机や打合せテーブル、
ベンチや模型棚、、、つくるものは様々ですが、
その様々なものが既存の部分と自然にある。
そんな感じを目指しています!

葛西 瑞都
 

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今年を振り返ってみると。

この時期になると決まって毎年の様に

「今年は一瞬だったなぁ」

とつぶやいています。運転中とかに。
 
ありがたいことに、ここ数年は春夏秋冬
 
いつでも連続的に現場も動いていますし、
 
そういう意味では年末という区切りも
 
あんまり意味がないのですが、
 
少し自分の仕事の事を思い返してみます。
 
 
 
僕がプロジェクトを一人で担当するようになって、
 
大体9年目。
 
初めの頃は会社全体としてもそんなに件数は
 
多くなかったので、自分の手元には2,3件くらいの
 
プロジェクトを抱えていました。
 
その4年後には5,6件くらい。
 
そして今年は、12件くらい。
 
一緒に設計している兄の瑞樹も多分同じくらい。
 
そして現場監督の長男は僕と瑞樹両方の現場を
 
管理しています。
 
 
 
 
数年前からお仕事を頂く機会が増えてきている中で、
 
これからどういうスタンスで仕事を続けていくのか、
 
今年はその事を結構考えていたような気がします。
 
時間や労力は有限なので、プロジェクトが増えると
 
分母が増えて、どんどんひとつのプロジェクトとの
 
つながりが薄くなる。
 
それは絶対にダメだしイヤです。
 
となると、新たにスタッフを募って件数に対応する
 
ことになります。
 
 
 
実は今年、ホームページの求人を見てくれて
 
一緒に働いてくれる仲間が増えました。
 
(後々ホームページでご紹介します)
 
出来れば僕は、ボスと部下みたいな
 
トップダウン方式の関係は避けたいと
 
考えています。
 
 
対等に意見を出し合って、際限なくアイディアを
 
出せる環境を当たり前にしたいと思うし、
 
それぞれのプロジェクトの担当者として
 
一緒に先頭に並んで欲しい。
 
その環境になれるまで、僕は責任を持って
 
ポジティブにサポートしていきたいです。
 
多分、そんな環境ではみんなが
 
楽しいはずです。僕も含めて。
 
(という訳で、新しいスタッフはまだまだ
 
募集しております!
 
設計デザインに興味がある方、
 
模型やCGが得意な方、
 
とにかく建築が好きな方、
 
今は知識も技術も少ないけれど
 
当社で働きたい方も、ぜひぜひご連絡を!)
 
 
 
自分が働いている環境を変えていったり、
 
その仕事にどう向き合っていくか?という問いは
 
おそらく最適解もゴールもありません。
 
小さな失敗もたくさんだけど、
 
嬉しいことはもっとたくさんです。
 
これからも、悩みながら、楽しみながら
 
仕事を続けてまいります。
 
 
葛西 瑞都
 
 
 
 
 
 
 
 

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ネコのお墨付き。(後日談付き)

建築に携わっている人はみんなそうですが、

僕もご他聞にもれず現場が好きです。
 
特に好きなタイミングがいくつかあって、
 
そのひとつが建て方の直前です。
この「在府町の家」では、
 
基礎のコンクリート工事が一段落して、骨組みを
 
組み上げる前、足場が設置されているところ。
 
なんというか、いよいよ立体的になっていく感じが
 
テンションが上がるんです。
アプローチの感じや、中庭の大きさをイメージしつつ
 
うろうろ散策していると、そこにそれはあったのです。。
上の写真の、ほぼ中央に。
 
ちょうどリビングの真下、床下の土間コンに、
 

ネコの足跡が!

現場に人がいない養生期間の隙に、
 
とっとっとっ、と。。。
 
聞くところによると、猫は居心地の良い居場所を
 
見つける達人だとか。
 
それがちょうどリビングの真下にあって、中庭方向へ
 
向かっているじゃありませんか!
 
なんだか早くもネコさんからGOOD!の
 
お墨付きをもらったようで嬉しかったんです。
 
 
 
床下で隠れちゃう部分だし、
 
「これ、このまま残しておきませんか?」
 
って今度建て主さんに訊いてみよう。
 
補修は簡単だけど、なんだかもったいないような。
 
だって、中々もらえないですよね?
 
ネコのお墨付き。。
 
 
 
↓後日談
 
後日お打合せで建て主さんとお話したところ、
 
面白いから残そう!という運びになりました!
 
さらにこの足跡を見て、
 
僕たち家族も家のどこかに手形とか残そうかな?
 
という楽しい流れになりました。
 
ネコさん、お礼が言いたいので工事中ひょっこり
 
現れてくれませんか?
 
 
葛西 瑞都
 
 

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「Lamp House」 まちに開かれた大きな軒下。

これから工事が始まるプロジェクトのひとつに、

 
青森市の浪岡に建つ
 
ヘアサロン併用住宅「Lamp House」があります。
 
 
元々建て主の奥様が近所で営んでいた
 
ヘアサロンを、今回新たな住まいと併せて
 
つくることになりました。
この建物には、幅6.8m×奥行6.3m、高さが7mくらいの
 
大きな がらんどう(空っぽ) の空間があります。
 
南側の前面道路に開かれたこの空間は、
 
まちと共有する余白です。
 
建物の外観が目に入ったときに、
 
そびえ立つ壁面が街並みを圧迫するのではなく、
 
自然に視線が抜けるような軽やかなものに
 
なるようにと考えました。
 
夜にはがらんどうに明かりが灯って、
 
店名の示すように大きなランプの様相に。
多くの場合、建物の内部に吹抜け空間を
 
つくるときにはなるべく梁などの構造部材を
 
減らして、すっきりシンプルにつくりたいものです。
 
でもこの「Lamp House」では、
 
まるでそこに床や壁や天井をつくるかのように、
 
たくさんの柱や梁が現しになっています。
 
この巨大なジャングルジムの様な構造体によって、
 
300立方メートル近い容積の大空間は
 
親密で明確なスケール感で連続する、
 
あたらしい住空間になります。
この軒下空間は、壁も天井も木製の仕上げ。
 
まるでまだ途中のような、未完成のような
 
不思議な仕上がりになると良いなぁ。
 
複雑な陰影が床や壁に投影される様子を
 
目撃するのも楽しみです。
 
 
 
このたくさんの構造体は住まい手の新たな
 
アイディアもたくさん引き受けてくれる予感が
 
していて、ブランコやハンモックを吊るせたり
 
するのはもちろん、後で簡単に床を増やして
 
居場所をつくったりする楽しみもあります。
リビングには、南面の巨大な開口からの日光が
 
構造体によって少しだけ遮蔽、反射して、
 
柔らかな光となって届きます。
 
 
 
多分、この住まいは時間や季節の移ろいを
 
光や影の状態としてドラマチックに
 
感じられるんだろうなぁと妄想しながら、
 
せっせと図面を描いてます。
 
 
葛西 瑞都
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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