「ふつう」の家

完成したお家のオープンハウスなどではよく、

「ムツさんの住宅は変わってて素敵ですよね~!」

って言われます。スキップフロアになっていたり、

間仕切りが極端に少なかったり、様々ですから。

でも、当の本人であるお客様と僕達にとっては、

全然変わっている住宅ではないんです。

 

例えば写真の「水木の家」は、

小さな空間をたくさんつくって、

小さな段差で仕切っています。

 

小さな子供からおじいちゃんおばあちゃんまでが

一緒に暮らす家だから、いつも繋がっているけど

たまにはひとりになれるような距離感をつくる段差。

ダイニングも小上がりで掘り炬燵の様な食卓。みんなで

足を下ろして、床に座って食べるご飯はきっと美味しい

ですよねぇ。。。という感じ。

そういう「ふつう」の発想の積み重ねでこの住宅は

出来ています。

そもそも「ふつう」って人それぞれですし、

暮らす人にとってはこの家が「ふつう」。

ただし、「無難」とは一番遠い「ふつう」です。

葛西 瑞都

 

土を残したほうが

敷地に対する建物の置き方に興味があります。

 

車を運転していて新興住宅地に建つ建て売りなんかを

見かけるとがっかりすることが多くて、

「この住宅地、あんまり住み心地良くなさそう、、、」

と思ってしまいます。

ギリギリまで小さく区画された敷地に、隣地境界線ギリギリ

までの家を建てて、

お金に余裕のある人は隣地との境に塀を造って。

それでも少し余った部分はせいぜい駐車スペースか、

物干し竿が狭そうに置かれているくらい。

残った地面にはコンクリートを流して、

草木も生えない、なんというか息が詰まりそうな環境です。

(諸事情あるのはわかりますが。)

 

だから僕はプランニングの時、土の部分をどう残すか?

ということを考えるようにしています。敷地や建物の大小に

関わらず、街並みに土の部分をどう残すか。。。

家に居ると、窓から見える草木の育ち方が

楽しみになるような。

道を歩いている人も、草木が育つのを待ち遠しく

なるような。つい立ち止まってしまうような。

そんな建物の置き方、余白の残し方。

 

敷地いっぱいに建物を建てるより、

小さな家をつくって余白をできるだけ残して、

建物が木々に囲まれているような気持ち良さを

味わえたほうが、ずっと開放的でおおらかな

暮らしができると思うんです。

 

もしも僕が親なら、そんな環境で子供を育てたいし、

もしも僕が子供なら、そんな環境で育ちたいと思います。

 

すごく個人的な感覚ですが・・・。

 

葛西 瑞都

 
 

雑誌の掲載を通して考えたこと

ムツホームでは「住んでみたい青森の住宅」という雑誌に、

結構昔から住宅を掲載させてもらってます。

最近では掲載ページの構成も自分たちで手作りしていて、

(出版社に全ておまかせもできるのですが)

プロのカメラマンが撮影した写真のデータを頂いて、

レイアウトや文章構成まで考えます。

さて、その掲載する内容についてのこと。

掲載する住宅は「常盤の家」。

読んでいただいた方にはこの住宅の仕上がりだけではなく、

どちらかというとムツホームの家づくりに対する姿勢?

の様なものを知ってもらいたいなぁと思っています。

写真や平面図、パース、文面を通して建物自体の良さを

伝えるのはある程度簡単なんです。

でも本当に伝えたいのは、そんな家ができるまでの過程。

建て主のSさんが初めに話した、

「いつも家族みんなで居られる家がいいです。」という

言葉から始まって、プランニングへ。毎回みんなで本当に

楽しみながら、また悩みながら打合せをして。。。

少し遠方に住むSさんはほぼ毎週打合せに来てくれて。

そんな住み手と設計の期待に応えるために、

職人さんも本当に頑張ってくれました。(本当に。)

だから、家ができるまでの過程とか、Sさんの人柄とか、

家族同士の仲の良さ(女の子が2人います)とか、

家ができるまでの楽しさ・大変さとか、職人さんの苦労とか、

そういう写真にも図面にも表れないことを伝えたいなぁと、

悩みながら考えています。

でも、当然目にも見えないことをたった4ページで伝えるのは

本当に難しいんです。

掲載ページを読んでくれた人が、

「なにやらムツホームと家をつくるのは、

大変だけど楽しそうだぞ?」

と思ってくれれば、100点なんですが。

あぁ、掲載ページが30ページくらいあればいいのに。

葛西 瑞都