弘前市の実業高校正門の向かいに、
「CUT BOX 954」という理容室があります。
![](https://mizuiro-architects.com/wp-content/uploads/2019/10/20110502.jpg)
駐車スペースの不便が理由で移転することになり、
現在設計が進んでいます。移転先は弘前市泉野。
敷地は大手のレンタルビデオ店に隣接していて、
人通りが多い環境です。
![](https://mizuiro-architects.com/wp-content/uploads/2019/10/20110503.jpg)
普通ならそんな賑やかな店舗の方にバン!と
大きな開口をつくってインパクトのある外観に
したくなるところですが、そういう佇まいには
したくありませんでした。
あまり店内が見えすぎていると、店内にいる
人が落ち着かない空間になってしまう気が
していました。
![](https://mizuiro-architects.com/wp-content/uploads/2019/10/20110504.jpg)
なので、理容室とレンタルビデオ店との間に
壁をつくって建物の足元を隠しています。
![](https://mizuiro-architects.com/wp-content/uploads/2019/10/20110505.jpg)
理容室と壁の間はテラスになっていて、
店内へのアプローチを兼ねています。
開口部は低く抑えて、向こう側の
レンタルビデオ店が目に入りにくいように。
そのかわり、内部空間はテラスを含めて
実際以上の広がりを感じられるように。
床面積は限られているけれど、外側に壁を
一枚つくることで、中に居るときにテラスを
内部空間のように感じられれば、広がりのある
開放的な空間として感じられると考えました。
![](https://mizuiro-architects.com/wp-content/uploads/2019/10/20110506.jpg)
でも、実際にはテラスは外部なので、小さな
ギャラリーのような使われ方になる予定です。
ギャラリーというと少し固い感じがしますが、
夏にはサーフィンの板を立てかけたり、
冬にはクリスマスツリーを飾ったり、
奥様が植物を置いたり、
ご主人がバイクを置いたり。
たまに家族みんなでバーベキューも
したり、好きに使える空間です。
そんなテラスがあることで、
来店するお客さんが毎回訪れるのが楽しみに
なるようなお店になればと思っています。
そんな楽しそうな雰囲気が少しずつ壁の向こう側へ
あふれ出していくといいなぁ。
たくさんの人に訪れてもらって、その人達に
「なんだか楽しげなお店ができたなぁ」と
感じてもらえて記憶に残ったとき、このお店は
街の「小さなランドマーク」になるはずです。
![](https://mizuiro-architects.com/wp-content/uploads/2019/10/20110507.jpg)
「繁盛すること」とは別に、近所の親子連れや
おじちゃんが自然に集まっておしゃべりしたり
できるような居場所になればいいなぁと思います。
葛西 瑞都
2011年5月27日 (金曜日)