「桜川の家」は猛暑のなか、大工工事の真っ最中です。
工事中の現場にいるといつも独特の気持ちよさを感じます。
それはたぶん建築が持つ原初的な魅力だと思うのですが、
柱や梁や床下のコンクリートが見えている様子や、下から
見上げる屋根裏の様子など、「途中」だから生まれる雰囲気が
あります。
その「途中」ならではの良さについて。。。
完成後の様子はじっくりじ~っくり想像しながら設計するのに、
工事中の様子は以外に想像していないものです。
そんな中に隠れているお宝はたくさんあって、
例えば外部テラスに工事中だけ存在する足場。
2層吹抜けのテラスの空中に居場所がある様子は今だけの
特等席です。設計中は思いもしなかった居場所。
例えば外壁の下地になるモルタル塗りの様子。
あとで隠れてしまうけれど、左官屋さんの腕の見せ所。
無機質な廃墟の様に、荒々しいけれど静かな雰囲気が良い感じです。
内側から見るとまるで、コンクリートの古い廃墟の中に新しい建築を
つくったよう。
初めからあるものを残す部分と、仕上げる部分をきちんと考える。
というのは当たり前として、
さらに途中で見つけた要素を、新たにメンバーに加えて完成に向かう。
という工事現場になればもっと楽しい空間が生まれる予感がしています。
なので、工事中の現場と完成後のお家をわけないで、
おんなじ視点で見ています。
葛西 瑞都
2016年8月11日 (木曜日)