鉄の階段 工場の精度と現場の精度

前回少し紹介した「桜川の家」の鉄の階段。

先日現場での取り付け作業が行われました。
現場には大工の棟梁と副棟梁の兄弟。あと
鉄工所の製作を担当してくれた人達。 
無力な僕は端っこでそわそわ。
いよいよ始まります。。。
取り付ける部材の順番や運び方などの
段取りを全員で確認します。
この階段は数段上がってから
左側にカーブしてUターンしていく
形状なのですが、まずは内側の部材から。
3本の棒状の部品は設置完了までの補強用。最後に取り外します。
廻りながら上がっていく部分は、鉄の丸いパイプをカットして
作られました。
こんな形状は普通の作図ソフトでは描けません。すごい!
内側の部材はとりあえず設置完了です。
次は外側の部材の上半分!
内側の部材の円の中心と、外側の部材の円の中心を
合わせて確認します。さらに続いて下半分。
 
工場で完璧な精度で作られたこの6mmの鉄板は、
全ての部材を合体させるまでは
たわんでいたり反り返っていたり、とても不安定です。
プラモデルの様に簡単にはいかなくて、
職人さん達の経験と知識で乗り越えなければいけません。
 
踏み板が載った時に水平になるように。
踏み板の幅が最初から最後まで等しくなるように。
直線、曲線が美しくでるように。
 
「階段」というものに求められる当たり前の性能を実現するために、
現場では相談と調整が続きます。
製図すら困難なこの階段部材を図面通りに製作する鉄工所の精度。
 
グワングワンと動く部材達を図面通りに現場に取り付ける現場の精度。
 
改めて建築の職人さん達は凄いなぁ~と、ずっと口が半開きでした。
そしてやっと完了!
外に出て休憩しながら
「あ~マジで大変だったぁ!」
とタバコと缶コーヒーで一服している皆さんの格好良い事!
 
ということで、あとは踏み板を置いて手すりを付けて完成となります。
 
2階まで軽やかに昇降できるよう浮遊感を出すために
壁との間に少し隙間を開けて、階段を支える柱なども無いデザインです。
たくさんの職人さんの努力と、僕の応援(笑)によってつくられました。 
 
オープンハウスではぜひ実物をご覧になっていただければと思います!
 
葛西 瑞都