なんと前回の書き込みから3ヶ月ぶりとなってしまいました!
最近ホームページに登場した「高屋の家」と「矢田前の家」、
これから工事が始まる建物はまだ他にもあるのですが、
ちょうど同じ位のタイミングで始まったこともあって
個人的に比べて考える部分も多いのですが、今回は
この2つの住宅の外観について書いてみたいと思います!
まず「高屋の家」から。
![](https://mizuiro-architects.com/wp-content/uploads/2019/10/20170701.jpg)
この住宅は新しく開発された分譲住宅地に建つ平屋の建物です。
平屋といっても全体が大きな片流れ屋根なので、
一番高い所で5m位。
標準的な2階建てよりも0.5階分くらい低く抑えています。
南側接道なので、開放的な日当たりや風通しの確保と同時に
プライバシーの守られた空間にする事が課題でした。
最終的には建物の南側に吹抜けの半外部空間をつくり、
幅3m、高さ4.2m程の住宅としては巨大な片引き窓を
設けることになりました。
この大きな窓には視線を遮りながらも光を柔らかく拡散する
スリガラスが嵌め込まれ、締め切っていてもとても明るい
サンルームの様な空間になります。
開け放つと全面が外気に開放されてテラスの様に外部化され、
日の光や風を直接取り込むことができます。
「窓を開ける」という、とても日常的な動作で、間取りや環境ごと
コントロールしようとしている住宅です。
次に「矢田前の家」。
![](https://mizuiro-architects.com/wp-content/uploads/2019/10/20170702.jpg)
市街地のゆったりと大きな敷地に建つ、
3世代のご家族が住む住宅です。
家族が多いので必然的に部屋数も必要な広さも増えるとともに、
道路のある南側に充分な窓を設けて
たっぷりと日の光を入れたいというご希望がありました。
ご家族の人数や床面積などは全く違うものの、「高屋の家」と
近似的な課題でした。
そこで検討したことは、「部屋と窓の配置」です。
この「矢田前の家」では主要な居室が南側に並列し、
相似形のサッシや開口が整列する外観とすることで、
何の部屋がどこにあるのか、どこまでが何の部屋なのかを
徹底的にわかりにくくしようとしています。
間取りが表れない外観にすることで
生活のプライバシーを確保しようとしています。
2つの住宅の外観について、考えたことを書いてみました。
一般的に外観というと、外壁の色や素材なんかの表層的な所が
対象になることが多いと思いますが、個人的にはその表層的な
部分よりも、もっと根っこの部分が気になります。
僕が好きな建物の外観は必ずといっていいほど
建物の根幹的な成り立ちや思想が外側に自然に表れていて、
いつもそんな外観を目指して設計していると思います。
葛西 瑞都
2017年7月22日 (土曜日)