「早瀬の家」の近況

「早瀬の家」は現在、大工さん達が

四苦八苦しながらも着実に作業が進んでいます。

はじめはA3の用紙の中にしかなかった小さな世界が、

今は実寸大となって手触りや匂いまで感じられる

現実味を帯びていて、

ドキドキワクワクが止まらない三十路です。

現場ではオークのフローリングが張られ、

壁や天井が出来上がりつつあります。

後は階段や家具の製作をして、塗装等の仕上げ工事へと

移行していきます。

内庭への植栽も楽しみです!

最近、この「早瀬の家」のご家族の許可を頂いて、

まだ設計中のご家族に工事中の現場を

ご見学していただきました。

実際の床面積はとても小さいけれど、寝巻きでも出られる

内庭があったり下の階とつながる吹抜けがあったりして、

とても広々暮らせる住宅です!

と自画自賛のような説明ばかりになってしまいましたが、

このお家の気持ち良さと、職人さん達の涙ぐましい努力と、

建て主さんのワクワク感は

伝わったんじゃないかと思います。。。

・・・ところで話は変わりますがこの内庭、

ホントに気持ち良いんです。

人目を気にしなくていいし眺めはいいし、

風通しは最高だし。

僕が住人なら家の中よりもここにいる時間の方が

長いかも。あぁ、完成が待ち遠しいような、

現場が終わるのが勿体無いような、そんな感じです。。。

 

葛西 瑞都

 
 

建築と建て主さんの理想的な関係。

建築という言葉を聞くとどこか難しいイメージがあって、

とっつきにくい感じがあると思います。

たしかに公共の施設やお店なんかの

不特定多数の人が使う建物は、色々な人にとって

快適になるようにある一定のガイドラインみたいな規定があって、

なんというか、全体的に平均点の高い空間が求められます。

でも、住宅に関して言えばそんなことはなくて、

暮らす人の好きなようにつくることができます。

趣味や遊びのための家や、仕事場がくっついた家、

子供が走り回れる家、友達をたくさん呼べる家、

ただひたすらダラ~っと過ごす家。。。 

自分が居心地の良い空間を考える時に、

ガイドラインはありません。

だから、難しいイメージを取り払って、

みんなで前のめりになって一緒に考えていくような

お付き合いが理想的だと考えています。

工事が始まると建て主さんとの打ち合わせも

ほぼ100パーセント現場で行われます。

例えば収納棚のデザインを決める時に、

細かな寸法が入った図面や資料も一応?用意して

いくのですがだいたいはその場で壁に手を当てて

「この辺に棚板がきます」とか、「壁からの出はこのくらいです」

みたいな感じで決まっていきます。

詳細で正確なはずの図面よりも、

現場で身振り手振りで考えた方がずっとわかりやすいからです。

すると建て主さんも、「このくらいがいいです」と

手を使って表現できます。

図面はその辺に置いておいて。

頭でなく体を使って

考えていると、時には建て主さんから素晴らしい

アイディアを頂けたりする時もあります。

一般的なイメージでは難しそうでとっつきにくかった建築が、

実際のところ身振り手振りで考えられていたり、

時にはあまり考えず直感で決断していたり、

とても自由に決められていきます。

多分これは結構重要なんじゃないかと考えていて、

そんなふうにつくられたお家に暮らすご家族が

「やっぱりじぶん家が一番!」

と思える大事な要素だと思うんです。。。

 

葛西 瑞都

 
 

妄想から現実へ変わる瞬間の楽しさ

全てのプロジェクトがそうですが、

はじめはふわっとした妄想の様なものから

スタートして、建て主さんと打ち合わせを

重ねていく中で少しずつ

形が手にとるようにわかってきて、

大きな模型を眺めることで

実際のスケール感覚を感じることが

できるようになります。

そして工事が始まると、今までは

頭の中にしかなかったイメージが実寸大で建ち上がります。

実際に歩きまわったり、2階から内庭を見下ろしてみたり、

遠くの景色を眺めたり、風を感じたりできます。

着工前までは完成形ばかりを執拗に想像していた僕にとって、

現場はどこか完成形の面影があって既視感のようなものを

感じると同時に、新しい発見にもあふれていて、

それがすごく楽しいのです。

そして多分それは建て主さんも一緒のことで、

何ともいえない高揚感を共有しながら現場が

進むのをみんなで楽しんでいます。

これからは建て主さんが主役で、

様々な悩ましい決断の連続が待っています。

僕は相変わらずオマケとして、頑張ります!笑

葛西 瑞都