市街地のゆったりと大きな敷地に建つ、
3世代のご家族が住む住宅です。
家族が多いので必然的に部屋数も必要な広さも増えるとともに、
道路のある南側に充分な窓を設けて
たっぷりと日の光を入れたいというご希望がありました。
ご家族の人数や床面積などは全く違うものの、「高屋の家」と
近似的な課題でした。
そこで検討したことは、「部屋と窓の配置」です。
この「矢田前の家」では主要な居室が南側に並列し、
相似形のサッシや開口が整列する外観とすることで、
何の部屋がどこにあるのか、どこまでが何の部屋なのかを
徹底的にわかりにくくしようとしています。
間取りが表れない外観にすることで
生活のプライバシーを確保しようとしています。
2つの住宅の外観について、考えたことを書いてみました。
一般的に外観というと、外壁の色や素材なんかの表層的な所が
対象になることが多いと思いますが、個人的にはその表層的な
部分よりも、もっと根っこの部分が気になります。
僕が好きな建物の外観は必ずといっていいほど
建物の根幹的な成り立ちや思想が外側に自然に表れていて、
いつもそんな外観を目指して設計していると思います。
葛西 瑞都