年末のお引渡しに向けて設計・工事中の
大鰐町にある「下牡丹森の家」。何度か
ご紹介しましたが、シンボリックな丸太
の大黒柱が大きな空間の真ん中に
すっと建っている住宅です。
![](https://mizuiro-architects.com/wp-content/uploads/2019/10/20141101.jpg)
この写真でわかる通り、抱きつける位の太さです。
一階と二階の同じ位置に二本あるのですが、
一階は直径二十八センチ、
二階は直径二十六センチもあります。
一昔前の、いわゆる古民家という住まいでは
必ずといっていいほどこの大黒柱がありました。
そこで暮らしている家族が自分達の家の
一番重要な構造体のことをよく知っていて、
生活の中で身近な存在だったと思います。
よく子供の身長に合わせてキズを付けて
いたり、落書きしたり、よじ登ったりして、
暮らしと密接な関係がありました。
今回大黒柱のあるお家を設計しながら
考えたことは、構造体と家族との距離感です。
最近よく見かける住宅はどちらかといえば
構造体が壁や天井の中に隠れていて、
暮らしとは無関係なことが多いと思うのですが、
「下牡丹森の家」では構造としてだけではなく、
何気ない暮らしの中に馴染むような身近な
存在になればと考えました。
一階の天井は仕上げをほとんど省略して、
二階の床を支える梁なども現していますが、
大黒柱が二階の床を支えている様子が
よくわかります。
![](https://mizuiro-architects.com/wp-content/uploads/2019/10/20141102.jpg)
柱の頭や足元部分はなるべくシンプルに
したかったので、大工さんの知恵と技術
に頼りながら何とか上手く納めてもらいました。
![](https://mizuiro-architects.com/wp-content/uploads/2019/10/20141103.jpg)
いつも感心するのですが、僕の無茶な希望を、
四苦八苦しながら手作業で実現してしまう
職人さん達はやっぱりめちゃくちゃカッコいいですね!
![](https://mizuiro-architects.com/wp-content/uploads/2019/10/20141104.jpg)
二階は若夫婦と子供達がくつろぐための
スペースになっていて、一階と同じく
大きな空間の真ん中に柱が建っています。
南側は全幅の開口を設けてあって、
これから全幅の読書カウンターが付けられます。
![](https://mizuiro-architects.com/wp-content/uploads/2019/10/20141105.jpg)
日の差し込む方向とか、気分によって好きな位置に
椅子を置いてくつろぐカフェの様なゆるい空間です。
窓の外には隣家の屋根がまるでランドスケープの
ように見えます。
![](https://mizuiro-architects.com/wp-content/uploads/2019/10/20141106.jpg)
先日現場で建て主さんとお打ち合わせ中に、
奥様がご主人に何気なく、
「この柱に子供の背丈に合わせてキズつけられるね!」
と話しているのを聞いて、僕が想像する以上に素敵な
建築と住み手との関係性が生まれそうな予感に
ワクワクしている今日この頃です!
葛西 瑞都
2014年11月23日 (日曜日)