2014年

家の骨組みと生活の距離感

年末のお引渡しに向けて設計・工事中の

大鰐町にある「下牡丹森の家」。何度か

ご紹介しましたが、シンボリックな丸太

の大黒柱が大きな空間の真ん中に

すっと建っている住宅です。

この写真でわかる通り、抱きつける位の太さです。

一階と二階の同じ位置に二本あるのですが、

一階は直径二十八センチ、

二階は直径二十六センチもあります。

一昔前の、いわゆる古民家という住まいでは

必ずといっていいほどこの大黒柱がありました。

そこで暮らしている家族が自分達の家の

一番重要な構造体のことをよく知っていて、

生活の中で身近な存在だったと思います。

よく子供の身長に合わせてキズを付けて

いたり、落書きしたり、よじ登ったりして、

暮らしと密接な関係がありました。

今回大黒柱のあるお家を設計しながら

考えたことは、構造体と家族との距離感です。

最近よく見かける住宅はどちらかといえば

構造体が壁や天井の中に隠れていて、

暮らしとは無関係なことが多いと思うのですが、

「下牡丹森の家」では構造としてだけではなく、

何気ない暮らしの中に馴染むような身近な

存在になればと考えました。

一階の天井は仕上げをほとんど省略して、

二階の床を支える梁なども現していますが、

大黒柱が二階の床を支えている様子が

よくわかります。

柱の頭や足元部分はなるべくシンプルに

したかったので、大工さんの知恵と技術

に頼りながら何とか上手く納めてもらいました。

いつも感心するのですが、僕の無茶な希望を、

四苦八苦しながら手作業で実現してしまう

職人さん達はやっぱりめちゃくちゃカッコいいですね!

二階は若夫婦と子供達がくつろぐための

スペースになっていて、一階と同じく

大きな空間の真ん中に柱が建っています。

南側は全幅の開口を設けてあって、

これから全幅の読書カウンターが付けられます。

日の差し込む方向とか、気分によって好きな位置に

椅子を置いてくつろぐカフェの様なゆるい空間です。

窓の外には隣家の屋根がまるでランドスケープの

ように見えます。

先日現場で建て主さんとお打ち合わせ中に、

奥様がご主人に何気なく、

「この柱に子供の背丈に合わせてキズつけられるね!」

と話しているのを聞いて、僕が想像する以上に素敵な

建築と住み手との関係性が生まれそうな予感に

ワクワクしている今日この頃です!

 

葛西 瑞都