外の部屋、段々テラス。

なんとまぁ、久しぶりの更新に

 

なってしまいました。。。

 
今年初めてのブログは、これから工事が始まる
 
「泉野の家2」についてです。
 
 
 
弘前市の泉野という地域は新しいお家が
 
建ち並ぶ住宅地で、この敷地の周囲にも
 
新築や工事中の建物、将来建物が建ちそうな
 
空き地が隣接しています。
 
道路と接する南側は大きな建物が
 
建たないため日当たりが良くて空が広い。
 
その日光や風通し、眺望なんかの
 
いいとこ取りをしたのが
 
この「泉野の家2」です。
建物の形は2つの片流れ屋根が
 
交互に重なるような外観。
 
玄関までの長いアプローチは、
 
パブリックとプライベートを
 
切り替える距離感です。
 
主役は大きな木製の水平ルーバー。
この住宅は団らんの場であるLDKが
 
2階にあります。
 
そしてそのLDKには屋根の架かったテラスが
 
ズラッと隣接しています。
このテラスはスキップフロアの段々テラス。
 
小さなスペースが階段状に連続していて、
 
1階と2階を緩やかに繋いでいます。
 
南側にある全面の水平ルーバーから
 
光と風だけを取り入れた、
 
とても明るい空間です。
LDKはテラス側の大開口によって
 
人目を気にしない、カーテンいらずの
 
採光が可能になります。
 
 
 
さてここからが本当に書きたいこと。。。
 
テラスを細かく分けて
 
高さを変えて繋げたこの「段々テラス」を
 
設計するときに考えていたことがありまして、
 
それは人の暮らしと外部環境のことです。
 
何だか小難しそうな言い方に
 
なってしまいましたが、ここ数年、
 
僕や兄の設計する建物にはしばしば、
 
半分は外、半分は内みたいな空間が
 
登場します。
 
最近そんなお家に暮らすご家族と
 
お話した時に、生活の中に外でするか
 
内でするかの選択肢があって楽しい!
 
という言葉を頂きました。
 
普通の言葉なのに、とても重要な
 
ニュアンスが隠れている言葉です。
 
 
 
内部と外部が高性能な断熱材で
 
分けられた高気密な住環境は、
 
今では当たり前に必要な仕様です。
 
青森の様な北国では特に当たり前。
 
なので、僕達は一生懸命に内部空間の
 
快適性についてばかり高得点を
 
目指してしまいがちです。
 
「いかに環境を自分の思い通りに
 
コントロールできるか」です。
 
 
 
でも本当は、完璧にコントロールされた
 
環境はあまり豊かとはいえないような
 
気がしています。
 
数値的に完璧な室温、照度で
 
完全バリアフリー、高い防音性、
 
こんな部屋は、なんだか疲れそうですよね。
 
 
 
気持ちの良いことは、いつも外にあります。
 
日の光やそよ風や木々の揺れる音や、
 
遠くで子供が遊ぶ声や
 
夕焼けジ色の街並みや、、、
 
あげるとキリがないです。
 
でもそのどれもが数値化できない、
 
予想外の出来事です。
 
この「段々テラス」は、そんな外部環境との
 
関わり方について考えられています。
 
テーマは、
 
「気持ちの良い環境を見つけ出す空間」 
 
 
 
このテラスは半外部空間なので、
 
光も風も音も自由に入ってきます。
 
また段々に小さく分けていることで、
 
それぞれのスペースの環境は
 
微妙に違っています。
 
街と近くて、天井高が7mもある
 
日当たりの良い植栽のあるテラス。
 
1階と2階の中間の高さにあって、
 
テーブルセットが置かれる広いテラス。
 
街と距離感があって天井高もLDKと
 
同じくらいだけれど、
 
見晴らしの良い小さなテラス。
 
様々な環境のテラスが内部空間と
 
寄り添うことで、
 
気分や季節や目的に合った居場所を
 
探すことができます。
 
 
 
日本家屋の縁側は外部環境に
 
居場所を見つけるきっかけの場所でした。
 
そして僕達はその内から外への
 
グラデーションの中に丁度良い居場所を
 
見つける事を本能的に身に付けています。
 
この「段々テラス」では、
 
そのきっかけを最大化しようとしています。
 
 
 
暮らしの重心が内から少しずつ外へ
 
ずれていく可能性を想像すると
 
なんだかワクワクがとまらないのと
 
同時に、それを北国・雪国である青森で
 
考えることは僕にとって
 
とても難しく楽しいテーマになっています。
 
・・・とまぁ長々と書きましたが、
 
とにかく今は着工が楽しみです!!
 
 
葛西 瑞都