山のふもとのドッグカフェ

これから着工するプロジェクトのひとつに、

 
弘前市の岩木山のふもとに建つ
 
ドッグカフェの併用住宅がありまして、
 
少しだけご紹介。。。
 
 
 
敷地はアソベの森いわき荘へ続く道と
 
嶽温泉郷へ続く道の交差点にある、
 
まわりに大きな建物のないひらけた場所です。
 
多くの観光客や家族連れの人が行き交う道に
 
面しているので、景観を邪魔しない建物にしたいと
 
考えました。
小さなドッグカフェがある1階と、
 
1階よりひとまわり大きな2階。
 
小さな木の箱の上に白い家型のボリュームが
 
のっかっている外観です。
 
2階の外壁が全周にわたって45cmくらい
 
跳ねだしていて、
 
ぐるりと小さな軒下が生まれています。
 
地面から軒下までは2.2mほどの低い重心。
 
 
 
このたった45cmの軒の出によって
 
出入りの時に雨が降っていても濡れずに
 
傘を使えたり、夏には庇の様に直射日光を
 
遮ってくれたり、薪ストーブ用の薪を
 
置いておくスペースになったり、
 
木製の外壁から雨や雪を遠ざけたりと、
 
なにかと良いことがたくさんあります。
 
お店に入る時も白いイエの下をくぐる
 
感じがなんだか楽しそうですし。。
 
内部はこんな感じです↓
コンクリートの床と、規則的な木の構造を
 
現しにしたシンプルな空間。
 
天井はフッと高く上げて、隣地に広がる
 
リンゴ畑とその向こうの岩木山が見えるよう
 
一面を全面開口にしています。
 
(奥には薪ストーブ)
 
通常、木造の間仕切り壁は10.5cm角の柱の
 
両面にプラスターボードという仕上げの
 
下地材を張って造りますが、
 
設計する内にその壁の厚みが空間を
 
圧迫していると感じました。
 
そこで、柱の両側を仕上げで隠す事をやめて、
 
柱の有無と無関係に厚さ3cmの木の合板で
 
バンバン仕切っています。
 
扉も同じ厚さで同じ材料で製作するので、
 
壁自体に切れ目が入って開閉するような
 
体験になります。
 
 
 
厚い合板を建てるだけでもうそれが
 
ほぼ仕上がりになるので、大工さんは
 
作業の正確さとキズを付けないよう
 
一層の注意が必要になるし、
 
普段壁の中を自由に使えるはずの
 
配線・配管スペースがないので、電気屋さんや
 
設備屋さんも大変だったりしますが、
 
それがこのお店の少し非日常的な居心地を
 
つくるのに重要なポイントになると
 
考えています。
 
 
 
そしてもうひとつ、今回イチからつくる
 
テーブルセットについて
 
「よ~く考えること」
 
を僕の中で大きなテーマとしています。
 
言うまでも無く、テーブルとイスは喫茶店にとって
 
とても大事な主役です。
 
通常の喫茶店であれば人の居心地が
 
良いかどうかが重要ですが、
 
ドッグカフェの場合は少し違います。
 
訪れる人達はみんな自分が寛ぐためだけ
 
ではなく、きっと飼い犬と特別な時間を
 
過ごしたいという目的があります。
インターネットや雑誌を調べてみると、
 
飼い主とワンちゃんは大体一緒にゴハンを
 
食べているのですが、飼い主がワンちゃんの
 
様子を見たい時には自分の手を止めて、
 
テーブルの下を覗き込んでいました。
 
 
 
そこで、テーブルの天板をガラスにすることで、
 
飼い主がゴハンを食べながら
 
ワンちゃんを見られるようにと考えました。
 
するとワンちゃんはテーブルの真下、
 
家族の足元に居られるので安心できますし、
 
他のワンちゃんと自然に距離を保てます。
 
 
 
視線が通るガラスの天板は店内を広く
 
感じられる意味もありますが、
 
イスはあえて木箱のようなベンチにすることで
 
テーブルの下のワンちゃんにとって
 
小さな個室のような空間をつくっています。
 
またベンチは荷物入れにもなっていて、
 
飼い主の匂いが付いたカバンなどがそばに
 
あることでワンちゃんは
 
さらにリラックスできます。
 
大きな店舗ではないので、人数に柔軟に
 
対応できるようテーブルとイスは全て
 
2人用サイズで可動式。
 
くっつけたり離したりずらっと並べたりと
 
フレキシブルです。
 
ということを考えて、上の写真のような
 
模型をつくって建て主さんと打合せを
 
したところ、
 
 
「テーブルの四隅の脚がベンチに座るときに
 
邪魔かも」
 
というお話が出てきて改善したのがこちら↓
1/10スケールで詳細まで作りました。
 
テーブルの両側の中央にだけ脚を立てて、
 
ベンチの立ち座りがしやすそうです。
 
脚部にはアイアン、天板にはガラス、
 
その枠には木が使われる予定で、色々な
 
職人が関わる家具になりそうです。
 
天板越しにワンちゃんが見える!はず。
家具を建築の様に考えて設計することで、
 
新しい概念で普遍的なアイディアが
 
生まれるような気がしています。
 
(このテーブルはワンちゃんにとっては
 
柱と天井のようだし、ベンチは壁のようです)
 
なんだか半分くらいテーブルセットのお話に
 
なってしまいましたが、
 
着工が待ち遠しいです!
 
 
 
おそらく完成は7月か8月で、
 
オープンはもう少し先?
 
というかまだお店の名前もありませんけど、
 
犬を飼っている方も飼っていない方も、
 
ぜひいらして下さいね!
 
(お店のご夫婦は物静かで気さくで
 
とっても良い人ですよ)
 
 
葛西 瑞都