「中野の家」を設計していた時に考えていたことがあります。
それは建築物の大きさについて。空間や建物の大きさの
感じ方を表す「スケール感」という言葉があって、たとえば
敷地の広さと建物のボリュームのバランスや床面積と
天井高さの関係など様々な場面で意識して考える要素
なのですが、「中野の家」では主に3種類のスケール感を
考えながら設計していました。
まず一つ目は住宅本体と敷地との関係性。
敷地の背後には店舗の駐車場が隣接していて、隣地との
プライバシーを確保しつつ敷地に大きな余白を残したいと
考え、建物の形状を敷地の間口いっぱいに広げています。
大きな敷地と建物とのバランスを考えたスケール感です。
二つ目は薪小屋と使う人との関係性。この薪小屋はなるべく
使う人の身体感覚に近い大きさになるよう考えました。
公園の遊具やバスの停車場のように最小限の大きさに
留めて「建築」と「家具」の中間くらいの存在感を目指しました。
三つ目はアプローチの表札・インターホンと
ポストとの関係性です。敷地の入口にはインターホンと表札を
組み込んだコンクリートの立ち上がりと、お客様が自ら選んだ
かわいいポストが仲良く並んでいます。
コンクリートの立ち上がりを家具や雑貨の様な小ささで
造ることで、ポストの存在感が周囲となじむように考えました。
「中野の家」ではこれらのような大中小のスケール感をもつ
建築をつくって、使う人と建築物との関係が多様になるように
考えました。
11/3,4のオープンハウスに来てくださった皆様、
施主のO様、ありがとうございました!
葛西 瑞都
2012年11月21日 (水曜日)