ようこそ、「早瀬の家」へ!前編

え~、何だかいつも以上にテンション高めです。

実は今日は「早瀬の家」のお引渡しでした。

いつも書いてますが、設計中や工事中は

僕の場所だとばかり思っていたのに、

工事が終わるとパッと僕のものではなくなります。

寂しさ2割、嬉しさ8割といったところですが、

建て主さんの嬉しそうな楽しそうな様子を見ると

それだけで大満足です!

というわけで、先日写真家さんに

撮影していただいた写真はまだありませんが、

僕が撮ったお気に入りの写真をご紹介します!

なんだか長くなりそうですが、お付き合いを。。。

まずは外観から。

↑真っ白な家型に木張りの小さな家型が

くっついた外観です。

全体像は写真家さんの写真におまかせしてます。

↑木製引き戸を開けて風除室へ。

内部も木製外壁で、古材っぽいポストと船舶用照明。

↑リビングに入ると、光が充満した内庭が

広がっています。

↑セルフペイントで仕上げたコンクリート土間。

↑リビングからキッチン方向を見ると、

キッチンの高さが押さえられているのがわかります。

だいたい床面から30cm位の高さに天板があって、

ダイニングテーブルも一体として造ってあります。

↑階段の側面には、なにやら人が入れそうな

孔がありますね。。。

↑階段下の奥には、1人用の書斎があります。

カウンターの下は床が下がっていて、足を

下ろして座ります。

本棚も座ったまま最上段まで手が届く高さ。

床は畳を敷きました。

↑キッチンはシンク側と加熱機器側を2本に分けて

造りました。シンク側は木製天板で、加熱機器側は

ステンレス仕上げです。

↑ダイニングテーブルの天板は、コンクリートの

基礎によって支えられています。

建築と家具が交じり合った、職人さんの

自慢の一品です。

テーブル廻りは掘りごたつになっていて、

4人程度が腰掛けられる大きさです。

↑ダイニングテーブル上部には錆びた

鉄のソケットが良い感じの裸電球照明。

↑LDK部分は天井を見上げると、2階の床を

支える骨組みがダイナミックに現しになっています。

梁には何かぶら下げたり、ぶら下がったり、

引っ掛けたり、アイディア次第で楽しい使い方が

たくさんありそうです!

そして内庭へ。

↑2階のテラスにいる家族とおしゃべりできます。

↑内庭はこれから植栽を増やして、山の中の様な

もっさりした感じにしていきたいそう。

林に囲まれたような雰囲気の土間は風通しが良くて、

本当に気持ち良い居場所です。

勝手口へ続く飛び石も良い感じ。

↑勝手口は真鍮製の簡素な鍵を付けました。

開け放つとさらに風通しがUP!

 

・・・と、まだ半分くらいご紹介したいことがあるので、

続きは後編でお伝えいたします。。。

 

葛西 瑞都

 
 

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「早瀬の家」の写真撮影

29日、30日とオープンハウスをさせていただいた

「早瀬の家」。たくさんの方に遊びに来ていただき、

ありがとうございました!

そして今日は雑誌用の写真撮影。

気持ち良さそうな写真が山ほど撮れました!

発売は来年の2月頃だそうですが、今から

原稿のレイアウトを夢中で考えています。。。

 

葛西 瑞都

 
 

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セルフペイントと内庭の植栽

29・30日にオープンハウスを行う「早瀬の家」。

工事も終盤なのですが、本日は内部の

コンクリート土間のセルフペイントと、内庭の植栽を

行いました。

↑の写真は着色部分と未塗装部分。

内庭とリビングの中間にある土間を、

コンクリート専用の水性塗料でこげ茶色に

仕上げました。

僕と建て主ご夫婦の素人3人で挑戦。

以前から、建て主さん自身が工事の一部分にでも

関われるようにしたいなぁ~と考えていたのですが、

とても楽しく貴重な時間を共有させて頂きました!

素人ならではのラフな感じが上手く作用して、

時間が経ったような、不思議な味のある

仕上がりになりました。

そしてこの日は内庭に新たな住人が。。。

モミジ、クロモジ、アオダモ、ヒメシャラの4人です。

やっぱり、植栽が入ると良いですね!

風でゆっくり揺れる枝葉を眺めるだけでも

気持ちが良いです。

将来は建て主さん自身でもっと木々を増やして、

山の中の様なボリューム満点の空間に

したいそうです。

内庭と勝手口の間に置いた飛び石も良い感じです!

(建て主さんが造園屋さんで衝動買いしてくれました)

 

と、ハイテンションなままズラーっと書きましたが、

写真では伝わらない良い空気感があるお家です。

みなさまぜひ、オープンハウスにいらしてくださいね!

 

葛西 瑞都

 
 

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「早瀬の家」の近況

「早瀬の家」は現在、大工さん達が

四苦八苦しながらも着実に作業が進んでいます。

はじめはA3の用紙の中にしかなかった小さな世界が、

今は実寸大となって手触りや匂いまで感じられる

現実味を帯びていて、

ドキドキワクワクが止まらない三十路です。

現場ではオークのフローリングが張られ、

壁や天井が出来上がりつつあります。

後は階段や家具の製作をして、塗装等の仕上げ工事へと

移行していきます。

内庭への植栽も楽しみです!

最近、この「早瀬の家」のご家族の許可を頂いて、

まだ設計中のご家族に工事中の現場を

ご見学していただきました。

実際の床面積はとても小さいけれど、寝巻きでも出られる

内庭があったり下の階とつながる吹抜けがあったりして、

とても広々暮らせる住宅です!

と自画自賛のような説明ばかりになってしまいましたが、

このお家の気持ち良さと、職人さん達の涙ぐましい努力と、

建て主さんのワクワク感は

伝わったんじゃないかと思います。。。

・・・ところで話は変わりますがこの内庭、

ホントに気持ち良いんです。

人目を気にしなくていいし眺めはいいし、

風通しは最高だし。

僕が住人なら家の中よりもここにいる時間の方が

長いかも。あぁ、完成が待ち遠しいような、

現場が終わるのが勿体無いような、そんな感じです。。。

 

葛西 瑞都

 
 

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建築と建て主さんの理想的な関係。

建築という言葉を聞くとどこか難しいイメージがあって、

とっつきにくい感じがあると思います。

たしかに公共の施設やお店なんかの

不特定多数の人が使う建物は、色々な人にとって

快適になるようにある一定のガイドラインみたいな規定があって、

なんというか、全体的に平均点の高い空間が求められます。

でも、住宅に関して言えばそんなことはなくて、

暮らす人の好きなようにつくることができます。

趣味や遊びのための家や、仕事場がくっついた家、

子供が走り回れる家、友達をたくさん呼べる家、

ただひたすらダラ~っと過ごす家。。。 

自分が居心地の良い空間を考える時に、

ガイドラインはありません。

だから、難しいイメージを取り払って、

みんなで前のめりになって一緒に考えていくような

お付き合いが理想的だと考えています。

工事が始まると建て主さんとの打ち合わせも

ほぼ100パーセント現場で行われます。

例えば収納棚のデザインを決める時に、

細かな寸法が入った図面や資料も一応?用意して

いくのですがだいたいはその場で壁に手を当てて

「この辺に棚板がきます」とか、「壁からの出はこのくらいです」

みたいな感じで決まっていきます。

詳細で正確なはずの図面よりも、

現場で身振り手振りで考えた方がずっとわかりやすいからです。

すると建て主さんも、「このくらいがいいです」と

手を使って表現できます。

図面はその辺に置いておいて。

頭でなく体を使って

考えていると、時には建て主さんから素晴らしい

アイディアを頂けたりする時もあります。

一般的なイメージでは難しそうでとっつきにくかった建築が、

実際のところ身振り手振りで考えられていたり、

時にはあまり考えず直感で決断していたり、

とても自由に決められていきます。

多分これは結構重要なんじゃないかと考えていて、

そんなふうにつくられたお家に暮らすご家族が

「やっぱりじぶん家が一番!」

と思える大事な要素だと思うんです。。。

 

葛西 瑞都

 
 

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妄想から現実へ変わる瞬間の楽しさ

全てのプロジェクトがそうですが、

はじめはふわっとした妄想の様なものから

スタートして、建て主さんと打ち合わせを

重ねていく中で少しずつ

形が手にとるようにわかってきて、

大きな模型を眺めることで

実際のスケール感覚を感じることが

できるようになります。

そして工事が始まると、今までは

頭の中にしかなかったイメージが実寸大で建ち上がります。

実際に歩きまわったり、2階から内庭を見下ろしてみたり、

遠くの景色を眺めたり、風を感じたりできます。

着工前までは完成形ばかりを執拗に想像していた僕にとって、

現場はどこか完成形の面影があって既視感のようなものを

感じると同時に、新しい発見にもあふれていて、

それがすごく楽しいのです。

そして多分それは建て主さんも一緒のことで、

何ともいえない高揚感を共有しながら現場が

進むのをみんなで楽しんでいます。

これからは建て主さんが主役で、

様々な悩ましい決断の連続が待っています。

僕は相変わらずオマケとして、頑張ります!笑

葛西 瑞都

 
 

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「早瀬の家」の骨組み

鶴田町に建つ「早瀬の家」は、

いよいよ骨組みが組み上がりました。

はじめ大工の棟梁と模型を交えて話し合った時、

棟梁が模型を見ただけで

このお家の難易度を見抜いて、

「こりゃまた大変そうだ!」

と開口一番話したのを覚えています。。。 

現場では大工さん達が格闘中。

ただでさえ複雑なスキップフロアで

組むのが難しいのに、更に柱や梁などの構造部分が

完成後もそのままインテリアに現れるので

キズが付かないように注意が必要です。

大事なのは大工さん達の経験とアイディアと判断力!

図面通り、イメージ通りには中々いかないのが現場の常ですが、

その難題を乗り越えてくれるのはいつも現場の職人さんです。

設計の僕の力は現場ではオマケみたいな物で、

今回の「早瀬の家」の建て方も主役は大工さんたちでした。。。

葛西 瑞都

 
 

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「早瀬の家」

北津軽郡の鶴田町に建つ「早瀬の家」をご紹介します。

ご夫婦と2人の子供が暮らすための住宅で、

シンプルなイエ型をしています。

建物の末端部分にまとまった広さの「内庭」という

外部空間があって、リビングスペースが

延長されているような身近な距離感があります。

元々この空間を建て主さんにご提案した理由には

内部だけで完結しない空間をつくりたかった事と、

奥様が植物を触るのが好きなことがあります。

なので、内部に寄り添うような外部を

つくりたいと思いました。

床面積という数字的な大きさを飛び越えるための

空間でもあります。

内庭の大きなスケールと呼応するように天井は高く。

真上にある2階の床を60センチ位持ち上げて、

2階床の裏面がそのまま1階の天井。

構造材も現しにしています。

ハンモックや植物の鉢が吊るし放題です。

木で仕上げるリビング階段には小さなにじり口。

テレビボードの一部を踏み台にして進むと、

奥には畳敷きの小さな書斎があります。

このお家の隠れキャラ的な存在です。

キッチンの床はリビングに面した黒い土間が続いていて、

55センチ程下げることで掘りごたつテーブルに

座っている家族とキッチンに立つ人との高さを

合わせています。

写真の右側は加熱機器を組み込むステンレス天板、

左側はシンクを組み込む木製天板です。

次は内庭へ。

内庭はテーブルセットが置ける位の土間が

あって、植物たちに囲まれているような雰囲気です。


↑内庭とLDKとの関係がわかります。

物件紹介のページに無い写真も少しだけ。

(飛び石にはモザイクタイルの切れ端を

使いました。中々良い雰囲気です)

一応植栽の設計もしていて、家庭菜園や草花、

低木、中木を設えたいと思っています。

直射日光のあまり必要ない植物が植えられます。

モミジなど、季節感のあるものも良いですね。

次は2階へ。

LDKの真上にあるベッドルームは浮遊感のある

屋根裏部屋のような空間です。

吹き抜けに掛かるウッドデッキ製の渡り廊下の向こう、

2階の床面からさらに階段で3段上がります。

LDKと同じように全面開口で内庭と接していて、

空を近くに感じることができます。

天井は屋根の形で木で仕上げ、ここも構造材を

現しにしています。

実はこのベッドルーム、設計当初は「子供部屋」

という名前でした。(将来は2室に仕切る予定)

あまりに気持ち良さそうだったので子供だけズルい!

ということで部屋名を変更。

別にもう一部屋ある「元主寝室」がとりあえずの

子供部屋ということになりそうです(笑)

この細長いベッドルームには内庭上部の

両サイドにウッドデッキテラスがあります。

部屋着のままふらっと出て、

洗濯物を干したり景色を楽しんだり、

植栽に直接触れられると楽しいなぁとか

考えています。

 

地鎮祭も終えて、いよいよ着工です!

 

葛西 瑞都

 
 

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家の模型を展示することのリアリティ。

弘前市の早稲田に、完成済みや進行中の

模型を展示したギャラリーがあります。

元々小さなスペースの中に大きな模型が

ゴロゴロと並んでいて、

ずいぶん前から飽和状態。

少しずつ藤崎町の本社に送ったりしながら

やりくりしている状態です。

そんなギャラリーで仕事をしているのですが、

たまにふらっと見学に来てくれる人がいます。

その中の、先日初めて来て下さったご家族との

会話の中で少し発見したことがあります。

いつも通りひとつひとつの模型について、

こういう建物になった経緯や理由などを

説明していたのですが、

その時、不意に

「こんなリアルな展示場初めてです」

と言われました。

はて、リアルとはどういうことかな??

よくよく考えてみると、

通常住宅の展示場というのは

見学する人に向けて全ての展示物が作られています。

写真や実物を展示して、

「こんなキッチンいかがですか?」

とか、

「このインテリア、格好良いでしょ?」

みたいなことを、なるべくリアルに

表現しています。

建てる家の未来像について、

こんなに素敵な家が建ちますよ!

というのが一般的だと思います。

それに比べると、こちらで展示している

模型達はほぼ全てが過去に造られた

実物と同じものです。

工事前に建て主さんとイメージを

共有するために製作して、自宅に

持ち帰ってもらいじっくり眺められ、

試行錯誤の役に立ったリアリティがあります。

たまにコーヒーの染みとか付いてたりして(笑)。


一般的な展示と決定的に違うのは、

それぞれの模型が過去の家づくりの様子を

伝えていることです。

よくよく考えてみると、ここで伝えたいのは

僕たちの家づくりに対する考え方とか、

建て主さんとの付き合い方みたいなもの

かもしれません。

表面上のココがカッコいいとか、

ココがかわいいとかを話すよりも、

内側に潜む、ココを決めるのに

みんなで悩んで苦労した!とか、

ココは子供の本能に委ねた!とか、

そこかしこにまつわるお話の方が面白いと

感じることもよくあります。

多分、家づくりを楽しむ秘訣のひとつは

「楽しく悩む」こと。それを考える時に、

今まで他の人達がどういうことで

楽しく悩んでいたかを垣間見られるこの展示は、

結構大きな意味があるかもしれないなぁと

感じる小春日和でありました。

葛西 瑞都

 
 

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判断基準に訴えかけるアイディア。

僕がご提案するプランの中には

しばしば吹抜けが登場します。

前回のブログ書いているように、

吹抜けには空間を完結させない効果が

あるように思えるし、

家族同士のコミュニケーションが

生まれると考えているからです。

そんな吹抜けですが、

小さな建物であればある程

効果があると思っています。

小さな建物は1、2階に家族が点在

していても実は距離が近かったりするので、

少し床を取り払って小窓を設けるだけで

家族同士が繋がるからです。

 

例えば30坪程度のお家だとして、

子供部屋を少し切り詰めて5帖分位の

吹抜けを計画し、子供部屋と下階を窓で繋いだときに、

「良いと思うのでこのまま残してください」

と言われる場合があります。

建て主によっては

「もったいないから床にしてくれ」

と言われることもあるわけですが、

この建て主は

「10帖の子供部屋より広く感じるよ」

と笑ってくれました。

ここで考えたいのは、どの建て主が

良いとか悪いとかという話ではなく、

建て主の判断基準に訴えかける

アイディアについてです。

この建て主は多分、数字上の床面積は

減ってしまうけれど、本質的に広がりを

感じられるとイメージしたと思うのです。

今回はわかりやすく吹抜けを例にしましたが、

吹抜けに限らず、

建て主に自分の判断基準について

一度考えてもらえるきっかけとなるような

アイディアは、家づくりをしていく上で

結構重要なのではないか?

と考えるようになりました。

設計側も建て主側も初めは

手探り状態だった完成像が、

少しずつリアリティを持ち始める過程の中で、

良い意味で建て主を悩ませるアイディアを

考える事が、最近気付いた僕の課題です。

 

葛西 瑞都

 
 

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