寸法の不自由さから抜け出す試行錯誤。

空間には寸法の持つ不自由さというものが

あると思います。

建ち上がる建築は必ず高さとか長さとか

幅とか奥行きなどの寸法を持っていて、

それらを元に面積や容積を

計算することが出来ます。

すると、その建物が持つ広さは、

㎡とか帖とか坪などの単位で

数字に置き換えられます。

○㎡だから広い、○帖だから狭い

という判断基準ができてしまう。

確かに家具を置くために必要な

面積みたいなものは必要だと

思いますが、身体一つで空間を

感じてみる時、数字上の広さは

あまり重要じゃない気がしています。

例えば同じ床面積の部屋でも、

窓ひとつ無い完結した部屋よりも、

縁側なんかの半屋外空間と大きな開口で

繋がっていて気分しだいで

内で過ごすか外で過ごすか

選択できるような部屋で過ごす方が、

開放的で広々と感じるに決まっています。

部屋の向こうに続きがあるからでしょうか。

縁側みたいに大胆な仕掛けでなくても、

小さな吹抜けひとつあるだけで、

空を眺められたり2階にいる家族と

繋がることができます。

スキップフロアにして斜め方向の

繋がりをつくってみてもいいかもしれないし、

内装の雰囲気を変えるだけでも

違った広さで感じられると思います。

敷地条件や建物予算でほぼ

建物の数字上の規模は決まってしまいますが、

実際の床面積以上の広がりを

持つ空間をつくれると信じて

試行錯誤することで、寸法の不自由さから

抜け出したいといつも思っています。

 

葛西 瑞都

 
 

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頭の中にあるたくさんの部屋と、頭の中にある起こらなかった世界。

今年も春先から色々なプロジェクトが始まります。

工事が始められない冬の間に

机に向かって設計をして、

雪が融けたら工事を始める、

まるで農家の様な仕事のリズムで

毎日を過ごしています。

 

 

僕が設計を担当している、これから

建築予定の建物について、

まだ詳しくはご紹介できませんが、

縁側の様に身近に感じられる中庭を持つ住宅や、

雰囲気の異なる部屋がスキップフロア状に

連なって全体をつくっている住宅、

小さな子供を連れたお客さんも気軽に

利用できる小さなヘアサロンを併設した住宅など、

様々なプロジェクトを同時に考えている最中です。

 

 

僕は頭の中でそんな様々なプロジェクト

一つ一つに対して部屋を作り、

その都度、部屋を訪ねることで

一つのプロジェクトに集中して作業しています。

すると面白いことがあって、時々、

というか結構頻繁に、

他の部屋から横ヤリが入ってくるのです。

例えばある住宅の「キッチンとリビングの距離感」に

ついて考えていると、

他のプロジェクトのキッチンの事が

突然頭の中によぎって、

「あのキッチンは奥さんもリビングの

テレビが見えたほうがいいかなぁ」

という感じ。

そうこうしているとまた他のプロジェクトが

顔を出して、

「あのキッチンでは子供も一緒に

ワイワイ楽しめる感じに」・・・と、

気が付くと全部の部屋のプロジェクトが

一部屋に集まって、ザワザワ集会をしているような

感覚になるのです。

すると「あれ、最初何のことを考えてたっけ?」

みたいな事も度々あって困るのですが、

いつの間にか全てのプロジェクトを並列的に、

同時進行で考えていることは

そんなに悪くないなぁと考えるようになりました。

他のプロジェクトがあるからこそ

辿り着くアイディアもあったりして。。。

敷地も、建て主の家族構成や考え方も全く違うけど、

二人三脚のように一緒に進んでいく感覚は

中々にスリリングな楽しさがあります。 

 

もうひとつ、頭の中の妄想についてお話します。

初めてお客様と出会ってから工事が

始まるまでの間、

特に基本設計の大まかな方向性、コンセプトが

決まるまでの間、

僕はたくさんのプランを描いてみます。

出口があるのか無いのかわからない迷路を

少しずつ手探りで進むように。

行き止まりにぶつかってしまうプランもあれば、

何本もの分かれ道に行き着くプランもあります。

その中で、僕なりにとりあえずゴールに

辿り着いたプランのプレゼン資料をつくり、

そこからはお客様と一緒に

迷路を進んでいくわけですが、

僕が妄想するのは

ゴールインできなかったプラン達です。

現実には実現しなかった建物がもし

実現していたら、

どんな物語が生まれていただろう?

ということです。玄関の位置やリビングの

日当たり加減、全てがまるで違う建物の、

その後をモンモンと妄想しているのです。

 

 

と、これまでの文章を今読み返してみると何だか

「コイツ大丈夫か?」

という感じがしてしまいそうですが、

2015年も楽しい、気持ち良い建物がたくさんできそうで、

ワクワクしております!!

 

葛西 瑞都

 
 

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家の骨組みと生活の距離感

年末のお引渡しに向けて設計・工事中の

大鰐町にある「下牡丹森の家」。何度か

ご紹介しましたが、シンボリックな丸太

の大黒柱が大きな空間の真ん中に

すっと建っている住宅です。

この写真でわかる通り、抱きつける位の太さです。

一階と二階の同じ位置に二本あるのですが、

一階は直径二十八センチ、

二階は直径二十六センチもあります。

一昔前の、いわゆる古民家という住まいでは

必ずといっていいほどこの大黒柱がありました。

そこで暮らしている家族が自分達の家の

一番重要な構造体のことをよく知っていて、

生活の中で身近な存在だったと思います。

よく子供の身長に合わせてキズを付けて

いたり、落書きしたり、よじ登ったりして、

暮らしと密接な関係がありました。

今回大黒柱のあるお家を設計しながら

考えたことは、構造体と家族との距離感です。

最近よく見かける住宅はどちらかといえば

構造体が壁や天井の中に隠れていて、

暮らしとは無関係なことが多いと思うのですが、

「下牡丹森の家」では構造としてだけではなく、

何気ない暮らしの中に馴染むような身近な

存在になればと考えました。

一階の天井は仕上げをほとんど省略して、

二階の床を支える梁なども現していますが、

大黒柱が二階の床を支えている様子が

よくわかります。

柱の頭や足元部分はなるべくシンプルに

したかったので、大工さんの知恵と技術

に頼りながら何とか上手く納めてもらいました。

いつも感心するのですが、僕の無茶な希望を、

四苦八苦しながら手作業で実現してしまう

職人さん達はやっぱりめちゃくちゃカッコいいですね!

二階は若夫婦と子供達がくつろぐための

スペースになっていて、一階と同じく

大きな空間の真ん中に柱が建っています。

南側は全幅の開口を設けてあって、

これから全幅の読書カウンターが付けられます。

日の差し込む方向とか、気分によって好きな位置に

椅子を置いてくつろぐカフェの様なゆるい空間です。

窓の外には隣家の屋根がまるでランドスケープの

ように見えます。

先日現場で建て主さんとお打ち合わせ中に、

奥様がご主人に何気なく、

「この柱に子供の背丈に合わせてキズつけられるね!」

と話しているのを聞いて、僕が想像する以上に素敵な

建築と住み手との関係性が生まれそうな予感に

ワクワクしている今日この頃です!

 

葛西 瑞都

 
 

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「下牡丹森の家」のこと。

「下牡丹森の家」は大鰐町の、のどかで

のんびりとした場所に建築中の住宅です。

ご夫婦とまだ小さな男の子(将来はもっと増えるかも)や

親御さん達と合わせて7人家族。

初めから僕の設計で一番大事なことは、

家族みんなが自室にこもってしまうのではなくて、

無理なくワイワイ楽しめる

大らかな空間を考える事でした。

とても単純なことですが、小さな部屋を

たくさんつくるよりは大きなワンルーム

空間にして、そのなかで家族同士がちょうど良い

距離感や居場所を見つけられるように・・・。

その大きなワンルームの真ん中には

どっしり太い大黒柱を建てて、その柱を

中心に何となく向こう側とこちら側の距離感を

つくる一方で、大黒柱を中心とした

求心力の様な一体感が生まれると考えて、

設計が始まりました。その途中で建て主さんから

「柱は丸太の様な丸い柱が好きです。

子供が抱きついたりできるから。」

というお話があってこのお家の大きな骨格が

決まっていきました。

さて骨格の次は表層の部分ですが、

外観からインテリアまで建て主さんと

共有しているイメージは「普通」である事です。

もし建築業界にも流行みたいなものがあるなら、

そうではなくて普遍的な方が合っているので、

なるべく普通に・・・。

建て主さんご夫婦が、静かな物腰で話す

この「普通さ」というのは、激安坪単価

○○万円!の建売住宅の様な「普通さ」

ではなくて、建て主さんだけに似合う、

手間ひまかけたオーダーメイドの空間。

奇抜さは無いけれど、平凡ではない感じ。

「普通」に気持ち良い空間のことを考え

ています。

葛西 瑞都

 
 

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「旭ヶ丘の家」雑誌掲載のこと。

八月末頃発売予定のグラフ青森発行の

住宅雑誌「住んでみたい青森の住宅」。

先日写真撮影も無事終えて、写真のデータが

手元に届きまして、

全体の構成やコンセプトの表現に

四苦八苦しております。

今回は初めての写真家さんだったのですが、

写真の出来がとにかく良い感じなのです。

撮影時から「こんなアングルはどうですか?

とか、何枚か撮るので後で良い物を

選んで下さい!」というような感じで

グイグイリードしてくれる人だったので、

出来上がりがいつも以上のクオリティに

なるのはなんとなくわかっていましたが。。。

↑外観写真。こちらの注文としては

①建物と崖との関係がわかるように。

②景色の良さが伝わるように。

③ご主人が頑張って敷いた芝生の庭が

良く見えるように。

・  ・  ・  完璧。

 

そんな写真達をパラパラとならべるだけで

充分空間の雰囲気が伝わりそうなのですが、

なんだか妙な敗北感の様な感情が。

ということで、紙面で眺めたときに写真に

負けないくらい存在感のある断面パースを

作ってみました。

今回のようなスキップフロア形式の建物の場合、

平面図だけでは構成がよくわかりません。

なので高さ方向のイメージが伝わる資料として、

また崖と間取りの関係性がわかるように

このような断面パースは役立つと考えました。

敷地部分は模型写真を利用して、建物部分は

手描きのスケッチのようにラフな仕上がりで

わかりやすいように。。。

何とか写真や文章と相まって読み手の目を引く

ようなページに仕上がればいいなぁと思います。

そして毎度のように同じ事を言いますが、表面上の

「建築」だけではなくて、施主の楽しい苦悩や人柄や

好み、現場で格闘した職人さんの事など、

裏側の目には見えない雰囲気みたいなもの

が少しでも伝われば良いなぁと考えています。

(あと、設計の頑張りも少しだけ。)

葛西 瑞都

 
 

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一度、頭の中で繰り返されている思考を文字にしてみました。

おかげさまで最近結構忙しく、久々の書き込みです。

毎月お送りしているお手紙「mutsuhome letter」より。

かなり長い文章になってしまったので、

休み休み読んでみてください。。。

 

 

今回は現在進行中のプロジェクトのことではなくて、

僕の設計している時のモヤモヤとした感覚の

ことや、考え方の拠り所にしていることに

ついて書きたいと思います。

普段であれば進行中の現場の写真や

模型写真を並べてそれを説明するように

文章にしていますが、

自分の考えや悩みを客観的に眺めて、

それを文字に起こしてみるのは難しいです。

なんだか読みづらくて、結局何を言いたいのか

わからなくなってしまうかも知れませんが、

書いてみます。。。

 

 

まずは設計の始まりから。

オープンハウスやギャラリーに訪ねて

来てくれたご家族と出会って、世間話の

ような感覚で新しいお家に対する思いや

ご希望を伺います。

土地がまだ決まっていない場合には、

土地探しからお手伝いしたりします。

だいたいの資金計画や土地が決まったら、

いよいよお家のヒアリング。

設計の要となる間取りのご希望などを伺って、

いよいよ設計が始まります。

土地の形状をパソコンの画面上に落とし込み、

ヒアリングの情報を書き込んだ資料を

そばに置きながらあ~でもないこ~でもないと

頭の中の迷宮に入っていきます。

敷地に対する建物の大きさや形はどうか?

街並みの景観は?

ご近所さんに迷惑が掛からないような、

建物のぼんやりとした外形を決めながら、

同時に内部構成も考えていきます。

 

ヒアリングで伺った要望もなるべく取り入れ、

なんとか上手く色々なことが納まったなぁと

いうプランがそのうちできるのですが、

実はまだ「途中」です。

どこまでが途中でどこが完成なのかは

僕の中にしか答えは無いですが、ただ部屋を

パズルのように並び替えるような安易な

計画では、建て主さんの予想も想像も

超えるような楽しい提案はできないと思います。

じゃあなぜヒアリングで得た要望を

盛り込んだはずの図面に

魅力を感じないのでしょうか?

このへんが文章にするのが難しいところで、

一番大事な部分です。

 

 

僕は毎回設計する時に、なにか新しい空間を

提案できないかと考えています。

ここで言う「新しさ」というのは、

誰も見たこと無い奇抜なデザインのこと

ではなくて、その建て主だけにぴったり

フィットする、もしくは似合う空間のことです。

外に出ると同じ形で壁や屋根の色だけ違う

建売住宅が並ぶ住宅地がたくさんありますが、

そこで暮らす人達のライフスタイルは二つとして

同じものは無いはずです。

きっとその建て主さんのライフスタイルに

ピッタリ合う空間があるはずで、多分本人も

それがどういうものなのか考える機会もないまま、

わからないまま建物に人が合わせて暮らしています。

僕はそうではなくて、

その建て主だけに合う空間を発明したい。

建築はなんだか敷居が高く感じられがちで、

そのせいで抑えられている無意識の欲望の

ようなものがあると思います。

それが上手く引き出されて、その建て主だけに

似合う自然な空間をつくることが、

僕の考える「新しさ」だと思います。

 

 

そんな答えがどこにあるかも

わからないようなものをつくるのだから、

ヒアリングで得た要望を盛り込んだだけでは

納得できるわけがありません。

当然ながら、僕の独りよがりの提案で

良いわけもありません。

モヤモヤモヤ・・・

そしていよいよ初回プレゼンテーションの時。

伸るか反るか一発勝負!・・ではないんです。

特徴的なプランをご提案することが

ほとんどですが、どちらかというと

プラン自体よりも、今後家を一緒に考えていく

僕のスタンスを感じて欲しいなぁと思っています。

だから正直プランがそのまま実現するとは

全然考えていません。

建て主さん側も図面を眺めて初めて生まれる

大小様々な要望が必ずあって、初回のプランは

その要望を生むきっかけです。

ただ、凡庸で底の浅い提案では

そんなきっかけすら生まれないので、

最初から全力で取り組みます。

そして紆余曲折を経て形として家が完成し、

ふと今までを振り返って、自己採点と

次への目標を見つけることを繰り返しています。

その次へ繋がるっていうところが唯一拠り所。

以上、僕の頭の中をご紹介しました。

 

 

長文すみませんでした。はぁ~疲れました!

 

葛西 瑞都

 
 

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丸太探しの旅

今年建築予定のお家のひとつに、

広いリビングのど真ん中に大黒柱がある

住宅があります。

しかも1階リビングと2階サブリビングの同じ位置。

階段の途中から見ると床を貫いているように見えます。

せっかくの大黒柱なら、子供が抱きついたり

よじ登ったりしやすい、太い丸太が良いですよね!

ということで丸太を探しに黒石市の

木材流通センターというところに

見学に行ってきました。

実は廻りの業者に「丸太を使いたい」って相談すると、

「高いよぉ~」とか、「太いのは無いよ!」とか

言われる事が多いのですが、、、、、、

ありました・・・!それも太さや樹種も様々!!

直径20cm位が良いかなぁと思っていたけれど、

30cm位もいいなぁ・・・と欲が出てしまいます。

↑この立派なヤツは樹齢100年以上の青森杉!

テンションが上がりっぱなしで大変でしたが、何とか

「また近いうちに来ます!」

と平静を装って見学を終えました。

 

つづいて、建て主のご家族お気に入りの、

丸太の柱があるとある建築へ移動。

雑誌なんかでたまに見かける、黒石市の

「ほるぷ子供館」という建物です。

いわば子供のための小さな図書館。というか遊び場。

実は設計した人は建築の教科書にも出てくる

巨匠建築家の菊竹清訓さんという方で、

僕の尊敬する建築家の師匠の師匠です。

外をうろうろしていたら、親切な従業員さんが

中へ招いてくれました。

子供が大好きそうな空間です。天井の低いところや

ロフトのような高いスペース、窓際のベンチ。

そして丸太の柱もしっかり確認!

直径は20cm位でしょうか。子供が付けたであろう

小さな傷がたくさんあって、最高でした!

ちょうど伺ったときは小さな男の子とそのお父さんが

いて、お話を聞くとなんとお父さんが子供の頃に

この建物でよく遊んだそうな。さすが築39年です。

親切な従業員さんに甘えて色々お話を

聴かせていただきました。

↑扉のように開閉する本棚。

↑子供が隠れられる机。

↑完成当時からあるリンゴのカーペット。

↑1975年発売の建築雑誌「新建築」。

マンガでいうと少年ジャンプの様な、

建築に携わる人なら必ず知っている雑誌です。

現在も発行されている雑誌ですが、

当時のものはおそらく東京の大きな

図書館とかにしかないです。超貴重品!

↑窓の外はリンゴの木。

↑外に出て、玄関で談笑。

天井が低いのがまた良い!入り口の高さも子供サイズ!

↑特等席のプーさん。

・・・最高でした。。。

良い建築を見て勉強になりました!

これで丸太のイメージはバッチリです!

あぁ早く使いたいなぁ。

まだ多少の課題はあるけれど。。。

早く使いたい!!

以上、「丸太探しの旅」でした!

葛西 瑞都

 
 

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オープンハウスを終えて

3月の22・23日に「旭ヶ丘の家」の

オープンハウスが行われました。

天気予報ではもう春だというのに雪マークが

付いていたり、

場所も初めての人にはわかりにくそうだし、

来てくれる人あんまりいなそうだなぁ、

なんて油断していたらた~くさんの人達に

来ていただきまして、本当にありがとうございました!

今すぐにでも新しい家が欲しい人、

まだ具体的な計画は無いけれど

家を見るのが好きな人、

前にムツホームで建てたけど

様子を見にきてくれた人、

ご近所で工事中から

気にしてくれていた人などなど、

百人近い人達に観て頂く事ができました。

 

ほとんどの人達が家族連れでしたが、基本的に

僕がご夫婦とお話している最中、子供は僕なんかの

話を聞いてもつまらないのでふら~っと

お家の探検に出掛けます。

そしてなんだか面白そうな所を発見すると、

「パパ!ちょっと来て!早く!ママも!!」

みたいな感じで呼ばれたりするのですが、

僕はそれが嬉しくてたまらないのです。

子供は気持ち良い場所を探す名人なので、

そんな子供が感じたままの感想を聴けるのは

貴重なことです。

僕の説明の百倍くらい説得力のある

プレゼンをしてくれました。。。

 

家をつくる時には建て主さんからたくさんの

要望を頂きますが、それはあくまでも情報です。

ロボットの様に効率的に、事務的に設計しても

家は建つと思います。

でも、人の心に響くような、感覚に訴えかける

ような空間をつくろうと思うとそうはいかない。

簡単ではありません。

なので、本能のままに表現する子供達が段差

を使って遊んでくれたり、手造りのお風呂で

「ウチのもこれにしたい!」とか言ってくれたり、

思いがけないところで寝転んだりしてくれると、

何とか感覚に訴えかける設計ができたのかなぁ?

と嬉しくなります。

皆様、本当にありがとうございました!

 

ここで、来れなかった人のために

「旭ヶ丘の家」を写真でご紹介します。

長いので覚悟してください!

 

 

玄関を入ると、リビングへ上がる階段と

細長い土間(上足)があります。

↑玄関方向を見る。

↑階段の向こう側、突き当たりにはテラスが見えます。

↑土間は京都から仕入れた天然の墨を

混ぜ込んでいます。左官屋さんの手仕事の

跡が残る、お気に入りの素材感です。

↑ご主人に気に入っていただいた階段下の空間。

壁にはコンセント。

↑土間の黒と階段の黒が上手くマッチしてくれました。

土間は靴下でも滑らないし、足ざわりも良い!

↑土間の奥には主寝室があります。

↓はリビングの様子。

↑そもそもスキップフロアの構成にしたのは、

崖側の景色を様々な環境で眺められるように

したかったからです。リビングからは少し低く、

少し遠くから景色を眺めます。

↑リビングは2階の床面から1m位下がっています。

↑木の壁面に囲まれたくぼみの様なリビング。

ダイニング・キッチンはリビングを

見下ろせる位置にあります。

↑リビングから木製の階段を5段上がって

アプローチします。

↑階段の途中から操作できる位置に小さな扉が

あって、インターホンのモニター等が仕込まれています。

やっぱり小さな扉はかわいい。。。

↑キッチン背面には壁の仕上げと合わせた扉が

あります。食材やキッチン家電を全て隠したいという

ご希望から、食品庫をつくりました。

↑ダイニングからの眺め。

朝ごはんも夜のお酒も絶対おいしい。。。

↑テーブルセットは階段や手すりと合わせて、

鉄で製作しました。

少し重いですが上手くできました。

↑キッチン用に作った家具です。キッチン用品は

全て隠さなければいけない反面、ゴミ箱なんかは

いつも近くに置きたいよなぁ、、、と工事の途中で

気づいてご提案しました。

ゴミ箱を置く引き出し部分は本体から

離れて別個に動かせます。

上部がタイル張りの本体部分もキャスターが

付いていて移動が可能なので、料理中は

自分の好きなように廻りに置いて使います。

パン作りが好きということで、

パン生地をこねる作業台として、

または娘さんがお手伝いをする時に使えます。

↑ダイニングの照明は建て主が選んだブナコです。

↑ダイニングからは木張りのテラスに出られます。

天気の良い日は外でゴハンを食べられます。

↑テラスからの眺め。

↑キッチンの背後の 扉のひとつは水廻りに続いています。

↑1階と2階にある洗面台はどちらもタイル張り。

2階はモコモコしたかわいい白いタイル。

↑1階は青くて細長い、焼き物のタイル。

↑お風呂は2階のテラス越しに景色を

眺められます。

下半分が既製品のハーフユニットバス。 (TOTO)

壁には大工さんが青森ヒバを張りました。

香りが本当に良い!温泉気分に浸れます。

↑オープンハウスでも大人気で、

ひと通り見終わったお父さんが

「やっぱりもう一回!」と何度も見てくれたり、

子供にもお母さんも盛り上がっていました。

↑照明は船舶用のマリンランプ。

 

ここでもう一度リビングへ。リビングの奥には

将来2部屋に仕切って子供部屋にする

サブリビングがあります。

↑扉を閉めてリビングと仕切った状態。小さな

舞台のような空間が生まれます。

↑扉を開けてリビングと一体的に使える状態。

↑サブリビングに造ったキャスター付きの棚を

移動させて2部屋に仕切ることが出来ます。

面白いと思ったのは、棚の位置によって

広い部屋と狭い部屋をつくれること。

ご夫婦だけの暮らしになっても空き部屋にならず、

使い方に制限が無いのが良いです。

 

さて次は1階へ。

↑リビングの下には天井が低くてほの暗い、

ウォークインクロゼットがあります。

家族兼用なので廊下と主寝室から出入りできます。

(子供のおしおき部屋だそうです。)

天井高は190cm。不思議な安心感があります。

最後に、細かいところとか色々。。

↑階段まわりの細部

↑左がサブリビング。右がリビング。

突き当たりには、壁に見えるけど収納扉。

↑階段とベンチ。三角の隙間。 小さな窓。

↑1階にある3つの扉。

左は主寝室へ。

真ん中はトイレへ。

右はウォークインクロゼットへ。

 

 

以上です!

お付き合いありがとうございました!

外観写真も早く載せたいのですが

まだ外溝工事が残っておりまして、、、。

また次回ご紹介したいと思います。

 

葛西 瑞都

 

 
 

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黒い土間床。

ここ最近毎日のようにブログを書いて

いますが、いよいよ「旭ヶ丘の家」の

オープンハウスが目前です。

最後の工程として、およそ8m×1.6mの

土間の仕上げが行われました。

今回は靴を脱いで歩き廻る土間なので

灰色のモルタル仕上げではなく、

もう少し落ち着いた仕上がりを目指しました。

ということで使うことになったのが墨を混ぜた

モルタルで仕上げる「墨モルタル仕上げ」

という、黒い土間床です。

 

 

まずはコンクリート土間の上に下地となる

モルタルを敷きこみ・・・

その下地が乾ききる直前に仕上げ用の

墨入りモルタルを敷いていきます。

使うのは「京の黒土間」というもので、

京都にある昭和元年創業の建材屋さんから

取り寄せました。

ただモルタルに墨を混ぜているだけではなく、

乾燥後に表面が粉っぽくならないように

白華防止剤というものが同封されていたり、

長年掛けて各々の成分がちょうど良いバランスで

配合されたりしているそうです。

仕上がりはバッチリでした!

何だか黒い一枚岩のような、このお家に

ピッタリの質感です。

(乾くともう少し褪せた黒色になるそう!)

 

嬉しかったのは、担当した左官屋さんが

少しでも表面の凸凹を無くするように、

夜遅くまでコテで均してくれたときのこと。。。

 

「他の職人がここまで仕上げておいて、

自分たちだけ中途半端な仕事はでぎねぇべよ。」

 

と、熱~い一言をくれたこと。感無量です!

作業が終わって時計を見ると23時30分!

こんな気持ちの入った墨モルタルはもう、

最高以外の仕上がりになるはずないよなぁ・・・。

いつにも増してコッテリ仕上がった「旭ヶ丘の家」。

色々な人が集まって、つくった事のない空間を

1からつくるのだから、思い通りにいかないことが

あったり、小さな間違いや手直しや、新たな発見が

あったりしました。というかその連続でした。。。

 

いよいよ明日はオープンハウス。。。

偉い建築家の人はよく、

「自分の建築を自分で語るほど、強引に感じ方を

押し付けるようで良くない!」といいますが、

恥ずかしながら話したいことがたくさんあります。

 

例えば小さなウォークインクロゼットについて。

例えば床の仕上げについて。

例えば家具について。

例えばこの家の成り立ちについて。

例えば暮らすご家族の人柄について。

例えば職人さんの頑張りについて。

ご来場、お待ちしております!

 

葛西 瑞都

 

 
 

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ムツホームとつくる住まい。2013

2013年に建てさせていただいた住宅について

掲載した実例集「ムツホームとつくる住まい 2013」が、

やっと、やっっっと完成しました。

本当は去年の年末か今年の1月くらいには作る

予定だったのですが、ズルズルと3月の終盤に

なってしまいました。。。

「旭ヶ丘の家」のオープンハウスにも何冊か

持って行きます。

ホームページからでもお取り寄せできますので、

2011、2012と合わせてご覧ください!

(もちろん無料です)

 

葛西 瑞都

 
 

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