今年のこと、来年のこと。

今年はおかげさまで本当に忙しく

過ごさせていただきました。

僕の担当した住宅は

建物の中心部に静かな外部空間を

もつ「東城北の家」から始まり、

路地状の外部が建物を貫通している「榊の家」、

床を様々な高さに設定して家族同士の

多様な距離感を考えた「中野の家」、

広場のような開放的なリビングに

3層構造の内部空間が隣接している

「平岡の家」の4つを設計しました。

「あの住宅の確認申請の準備」とか「こ

の現場の施工図面」とか「新しい建て主

さんとのヒアリング」とか色々な作業が

同時に進行する中で、さらにそれぞれの

建物が完成するまでにはいろんなコトが

変わっていって、いろんな人が関わって

ズレていったり、もどったり。。。

どの住宅も建て主や現場の業者と一緒に

悩みながら、楽しみながら取り組むこと

ができました。今年の春先には、念願の

「ムツホームギャラリー」もオープンし

お客様との距離感もさらに近くなったと

思います。

そして来年には、5つの中庭をもつ公園

のような平屋「高田の家」をはじめいく

つかのプロジェクトが動き出しています。

緊張感と高揚感と使命感と素敵な予感を

抱えたまま、この先もがんばっていきた

いと思います。

葛西 瑞都

 

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「出発」と「到着(仮)」

「平岡の家」が何とか建て主のご希望

通りの日程で工事完了しました。

少し資料を掘り返してみると、初めて

プランを提出したのが2012年の4月。

細かい変更を繰り返して7月に模型を

お見せして、ワイワイ盛り上がりながら

工事が始まっていったのですが、その

「出発」した時にみんなで思い描いた

イメージから逸れることなくここまで

これたかどうか?法規やコストのこと、

設備の話、材料は?色は?など、

考えて悩んで完成に漕ぎ着けて

ふっと後ろを振り向いたときに、

全然別の場所に迷い込んでないか?

そんな目に見えないことを意識

しながら設計しています。

大事なのは建て主と同じ目線で一緒に悩んで

決めること。何とか出発時に思い描いた以上の

仕上がりになったかなぁと思います。タイトルの

「到着」を(仮)としているのは、とりあえず工事は

終わったけれど、この家での生活はこれから

始まるからです。年末年始は引越しの最中で

ゴチャゴチャでしょうから、落ち着いたら是非

お邪魔したいと思います。大きく育つ予定の

リビングに置く植物や家具、雑貨たちが建築と

馴染んだ頃に。。。

葛西 瑞都

 

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「高田の家」 5つ庭の住まい。

現在基礎工事が進行中の「高田の家」を

ご紹介します。

敷地は弘前市の市街地から少し通りを入った

住宅地にあります。周りには既に住宅などの

建物が立ち並んでいるため、空を狭める2階

建てではなく高さを抑えた平屋建てをご提案

しました。

建て主は当初から中庭のある生活、いわゆ

るコートハウスに対する憧れがあり、防犯上

の理由からもプライバシーの保たれた外部

空間をご希望でした。

僕は以前から雑誌やテレビでなどで大きな中庭を

内部空間がくるっと包んでいる形式の住宅を見る

たびに、何となく中と外の関係に窮屈さを感じて

いました。中庭が建物に閉じ込められている様な

雰囲気で、中庭に出ても少し開放感が無いような

気がしていました。

そこで提案したのが、大きな中庭をいくつかに

分けてそれぞれに違う役割を与え、それらを

各生活ゾーンの間にはめ込んだプランです。

LDK、ベッドルーム、水廻り、ゲストルームなどは

中庭によって柔らかく分けられ、部屋を移動すると

必ずいくつかの中庭のそばを通ることになります。

また全ての居室が中庭に面しています。

従来の内部が中庭を囲む関係だけではなくて

内部が中庭に囲まれる部分をつくることで、風通し

の良い開放的な空間になると考えました。

視線の抜けにも配慮していて、玄関→中庭→

多目的スペース→中庭→主寝室→外部、という

ような視線が貫通する部分をつくっています。

各中庭に与えた役割としては、

①最も広く家族みんなでワイワイ騒げる、

シンボルツリーのある中庭。

②浴室や和室から眺める坪庭の様な中庭。

③物干しができて、上部にはロフトから使える

小さなベランダがある中庭。

④リビングのテレビボードの先にある、植栽の

彩りを楽しむ中庭。

⑤2つある子供室からのみ出入りできる、子供達

専用の中庭。

という感じです。

動線としては最も広い中庭を含むとても大きな

回遊動線(1周約20メートル)を中心に、それぞれの

ゾーンに分岐していく動線です。体験としては

ひとつの建物の中を歩き回るというよりは、小さな

公園を散策するような感覚になると良いなぁと

考えています。ある建築家が「おおらかな動線を持つ

30坪の住宅は40坪の総2階建てに匹敵する広がり

を持つ」と執筆しているのですが、この住宅では内部に

外部が点在することでどこまでも内部空間が延長

されていくような広がりが生まれればと思います。

葛西 瑞都

 

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オープンハウスのご案内

青森市新城の「平岡の家」のオープンハウスを

行います。12/22(土)10:00~17:00

着工前に作った模型と工事中の現場を

比べて、きちんと初めにお客様と共有した

イメージになっているか。。。

建て主のY様は現場に来るたび

「本当に自分が住んでも良いのかしら。

こんな素敵なお家に!」

とワイワイ楽しみながら

お打ち合わせをしてくださいました。

本当はオープンハウスに来て下さった人

みんなにそんなお話を伝えたいのですが

僕が話せば話すほど見る人に先入観を

与えてしまうので、観たまんまを感じてもらい、

「あ~これは住み手も造り手も苦労した

だろうけど、楽しかっただろうなぁ~」と

思ってくれたら嬉しいです。

葛西 瑞都

 

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今年の印象に残った言葉

今年は定年退職のスタッフと新しい

スタッフとのメンバー入れ替えがあり、

その中でもありがたいことに仕事量は

凄まじいものがありました。

当然様々なお客様との出会いもあり、

工事中に赤ちゃんが産まれるご家族や

おじいちゃんおばあちゃんと一緒に暮らす

三世帯のご家族。今住んでいる土地に

建てかえる人もいれば新しい土地を探す

人もいらっしゃいますし、、、。

将来自分の家で開業を考えている人も

いれば、隠れ家のようにひっそりと暮らしたい

というご家族もいらっしゃいました。

そんな中で、ある若いご夫婦からいただいた

言葉がとてもうれしくて印象に残っています。

工事中の現場でお打ち合わせ後の雑談中に

「なぜムツホームを選んでくれたんですか?」

というような話になりまして、、、

「私たちは予算も少ないし葛西さんにも迷惑を

掛けていると思います。雑誌を見たり展示場を

廻ったりしていると坪単価○○万円!なんかの

安く建てられる所がありますが、食事に例えると

カップラーメンを食べている様な気分なんです。

たしかに安いんですけど、、、。

私たちは同じお金を払うなら、おふくろの味

みたいな手作りの料理がいいんです。」

・ ・ ・ というお言葉をいただきました。

初めて自分の仕事を客観的に考えてみる

きっかけになった、とても印象的なお話でした。

これからもコテコテの手作り料理をつくって

まいります。。。

葛西 瑞都

 

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建築の大きさのこと

「中野の家」を設計していた時に考えていたことがあります。

それは建築物の大きさについて。空間や建物の大きさの

感じ方を表す「スケール感」という言葉があって、たとえば

敷地の広さと建物のボリュームのバランスや床面積と

天井高さの関係など様々な場面で意識して考える要素

なのですが、「中野の家」では主に3種類のスケール感を

考えながら設計していました。

まず一つ目は住宅本体と敷地との関係性。

敷地の背後には店舗の駐車場が隣接していて、隣地との

プライバシーを確保しつつ敷地に大きな余白を残したいと

考え、建物の形状を敷地の間口いっぱいに広げています。

大きな敷地と建物とのバランスを考えたスケール感です。

二つ目は薪小屋と使う人との関係性。この薪小屋はなるべく

使う人の身体感覚に近い大きさになるよう考えました。

公園の遊具やバスの停車場のように最小限の大きさに

留めて「建築」と「家具」の中間くらいの存在感を目指しました。

三つ目はアプローチの表札・インターホンと

ポストとの関係性です。敷地の入口にはインターホンと表札を

組み込んだコンクリートの立ち上がりと、お客様が自ら選んだ

かわいいポストが仲良く並んでいます。

コンクリートの立ち上がりを家具や雑貨の様な小ささで

造ることで、ポストの存在感が周囲となじむように考えました。

「中野の家」ではこれらのような大中小のスケール感をもつ

建築をつくって、使う人と建築物との関係が多様になるように

考えました。 

11/3,4のオープンハウスに来てくださった皆様、

施主のO様、ありがとうございました!

葛西 瑞都

 

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完成度の割合

僕はいつも建物と関わるときに考えていることが

あります。毎回色々な人達と出会って、始まりは

ヒアリングから完成まで山あり谷ありで

プロジェクトは進んでいくのですが、

その完成後のオープンハウスでは

「この建物は瑞都さんが全て考えているのですか?」

という風な質問をよく受けます。

設計した側としては

「はい、全て僕が考えて提案しています!」

と言えれば格好いいのかもしれませんが

実は全然違うのです。。。

実質僕の占める完成度の割合は五割位でしょうか?

残りの五割のうち二割は大工をはじめとする

現場の職人さん。こちらがつくりたい空間に

仕上げるために、図面と現場を何度も見比べながら

例え手間が掛かっても休みを削ってまで仕事を

してくれる事もあります。。。

そして残りの三割は建て主であるお客様。

たとえば「ここの壁は外部のテラスと続いている

ように見えると居心地が良いと思うんですが~・・・。」

とお客様に話したときに一緒になって頭をひねって

悩んだ末に、

建て主→「よし、それでいきましょう!!せっかくなら

天井も床もテラスと合わせたいのですが!?」

僕→「外部用の材料なので少しザラザラしてますが?」

建て主→「全っっ然平気です!!」というような、

お互いにワクワクしながら物事がどんどん

決まっていくような過程がとても重要な気がしています。

だから最初のような質問が投げかけられた時に、

「僕が全部考えてつくりました」

とは口が裂けても言えないんです。

なので僕の割合は半分です。

十一月二日と三日のオープンハウスでは、

そのような僕とお客様、もしくは僕と現場の

職人達との過程を想像しながら

見学していただければと思います。

今後オープンハウスを行う予定の住宅模型も

展示しますので、たっぷり時間をかけて過ごして

いただければ嬉しいです。

葛西 瑞都

 

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考えることを考えてみること

現在たくさんの現場が進行中ですが、

現場の帰りにふと思ったことがありまして、、、

ムツホームの場合、お客様と出会って設計が

始まってから家が完成するまで、一年弱くらいの

期間があります。例えば9月に初めて出会った

お客様が新しいお家に住み始めるのは来年の

6月頃でしょうか。もちろんその期間がもっと長い

ことも短いこともありますが、ひとつ言えることは、

考えるとても時間が長いということです。

当然その間には数え切れないほどの思考の項目が

あって、お客様と一緒にそれらを乗り越えていくの

ですが、いつも見失わないようにしていることが

あります。

それは初めて出会ってお話したときにお客様と

共有した、ワクワクする感動のような感覚です。

まだその時にはかたちのないものでモヤモヤした

イメージのような感覚なのですが、設計が進んで

いくにつれて法規の事やコスト、設備や性能など、

いかにも仕事っぽい(仕事ですが)話がたくさん

出てくる中で最初のイメージを見失わないことが

とても大切な気がしています。

家が建物として完成したときに振り返ってみて、

その感覚がそのまま形になって現れている状態が

望ましいのではないか、と考えていて、そんなお家に

しばらくして伺ってみると、

「うん、これはまさしく○○さんの家だ!」とホッとします。

そんなことを考えると、僕たちが考える住まいは

建売住宅のような不特定多数の人は全然視野に

入っていなくて、極端に言うとそのお客様だけの

ための家です。

なので、これから続くオープンハウスではそんな

僕たちとお客様との試行錯誤の過程を想像しながら

見学していただければと思います。

葛西 瑞都

 

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進行中プロジェクトを追加しました。

ホームページでまだご紹介していなかった

プロジェクトを、やっと掲載できました。

新しく加わるのは、

・中野の家

・平岡の家

・横沢の家

・西大野の家

・桜川の家

・女鹿沢の家

の6つです。

それぞれ現場の進行も近いタイミングで

進んでいくので、毎日てんやわんやの

忙しさで楽しんでいます。

おそらくオープンハウスもたくさん続いてくると

思いますので、お楽しみに。。。

葛西 瑞都

 

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今年のプロジェクトのこと3

青森市の「平岡の家」をご紹介します。

建て主のご希望の中には、夜空の星や

月を眺めたい。シンボルツリーが欲しい。

という楽しい要望がありました。大雪と

なった去年の冬に現地を見に行った時、

1階部分はほとんど雪に埋もれてしまって

いたことから建物の外部に庭のスペース

をつくっても上手くいかないような気が

しました。そこでご提案したのが、

「家の中に庭がある空間」です。

8m程も天井高さがある広場の様な空間を

リビングとして植栽を施し、そこに別の建物

(ダイニングキッチン・寝室のボリューム)が

隣接している様な構成です。

2階の寝室にはこの広場に面して小さな

ベランダがつくられていて、ここから

大開口の向こうに月の浮かぶ星空を眺める

ことができます。

着工は8月中旬の予定です。

葛西 瑞都

 

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