先日現場で建て主さんとお打ち合わせ中に、
奥様がご主人に何気なく、
「この柱に子供の背丈に合わせてキズつけられるね!」
と話しているのを聞いて、僕が想像する以上に素敵な
建築と住み手との関係性が生まれそうな予感に
ワクワクしている今日この頃です!
葛西 瑞都
年末のお引渡しに向けて設計・工事中の
大鰐町にある「下牡丹森の家」。何度か
ご紹介しましたが、シンボリックな丸太
の大黒柱が大きな空間の真ん中に
すっと建っている住宅です。
この写真でわかる通り、抱きつける位の太さです。
一階と二階の同じ位置に二本あるのですが、
一階は直径二十八センチ、
二階は直径二十六センチもあります。
一昔前の、いわゆる古民家という住まいでは
必ずといっていいほどこの大黒柱がありました。
そこで暮らしている家族が自分達の家の
一番重要な構造体のことをよく知っていて、
生活の中で身近な存在だったと思います。
よく子供の身長に合わせてキズを付けて
いたり、落書きしたり、よじ登ったりして、
暮らしと密接な関係がありました。
今回大黒柱のあるお家を設計しながら
考えたことは、構造体と家族との距離感です。
最近よく見かける住宅はどちらかといえば
構造体が壁や天井の中に隠れていて、
暮らしとは無関係なことが多いと思うのですが、
「下牡丹森の家」では構造としてだけではなく、
何気ない暮らしの中に馴染むような身近な
存在になればと考えました。
一階の天井は仕上げをほとんど省略して、
二階の床を支える梁なども現していますが、
大黒柱が二階の床を支えている様子が
よくわかります。
柱の頭や足元部分はなるべくシンプルに
したかったので、大工さんの知恵と技術
に頼りながら何とか上手く納めてもらいました。
いつも感心するのですが、僕の無茶な希望を、
四苦八苦しながら手作業で実現してしまう
職人さん達はやっぱりめちゃくちゃカッコいいですね!
二階は若夫婦と子供達がくつろぐための
スペースになっていて、一階と同じく
大きな空間の真ん中に柱が建っています。
南側は全幅の開口を設けてあって、
これから全幅の読書カウンターが付けられます。
日の差し込む方向とか、気分によって好きな位置に
椅子を置いてくつろぐカフェの様なゆるい空間です。
窓の外には隣家の屋根がまるでランドスケープの
ように見えます。
先日現場で建て主さんとお打ち合わせ中に、
奥様がご主人に何気なく、
「この柱に子供の背丈に合わせてキズつけられるね!」
と話しているのを聞いて、僕が想像する以上に素敵な
建築と住み手との関係性が生まれそうな予感に
ワクワクしている今日この頃です!
葛西 瑞都
2014年11月23日 (日曜日)
「下牡丹森の家」は大鰐町の、のどかで
のんびりとした場所に建築中の住宅です。
ご夫婦とまだ小さな男の子(将来はもっと増えるかも)や
親御さん達と合わせて7人家族。
初めから僕の設計で一番大事なことは、
家族みんなが自室にこもってしまうのではなくて、
無理なくワイワイ楽しめる
大らかな空間を考える事でした。
とても単純なことですが、小さな部屋を
たくさんつくるよりは大きなワンルーム
空間にして、そのなかで家族同士がちょうど良い
距離感や居場所を見つけられるように・・・。
その大きなワンルームの真ん中には
どっしり太い大黒柱を建てて、その柱を
中心に何となく向こう側とこちら側の距離感を
つくる一方で、大黒柱を中心とした
求心力の様な一体感が生まれると考えて、
設計が始まりました。その途中で建て主さんから
「柱は丸太の様な丸い柱が好きです。
子供が抱きついたりできるから。」
というお話があってこのお家の大きな骨格が
決まっていきました。
さて骨格の次は表層の部分ですが、
外観からインテリアまで建て主さんと
共有しているイメージは「普通」である事です。
もし建築業界にも流行みたいなものがあるなら、
そうではなくて普遍的な方が合っているので、
なるべく普通に・・・。
建て主さんご夫婦が、静かな物腰で話す
この「普通さ」というのは、激安坪単価
○○万円!の建売住宅の様な「普通さ」
ではなくて、建て主さんだけに似合う、
手間ひまかけたオーダーメイドの空間。
奇抜さは無いけれど、平凡ではない感じ。
「普通」に気持ち良い空間のことを考え
ています。
葛西 瑞都
2014年10月 2日 (木曜日)
八月末頃発売予定のグラフ青森発行の
住宅雑誌「住んでみたい青森の住宅」。
先日写真撮影も無事終えて、写真のデータが
手元に届きまして、
全体の構成やコンセプトの表現に
四苦八苦しております。
今回は初めての写真家さんだったのですが、
写真の出来がとにかく良い感じなのです。
撮影時から「こんなアングルはどうですか?
とか、何枚か撮るので後で良い物を
選んで下さい!」というような感じで
グイグイリードしてくれる人だったので、
出来上がりがいつも以上のクオリティに
なるのはなんとなくわかっていましたが。。。
↑外観写真。こちらの注文としては
①建物と崖との関係がわかるように。
②景色の良さが伝わるように。
③ご主人が頑張って敷いた芝生の庭が
良く見えるように。
・ ・ ・ 完璧。
そんな写真達をパラパラとならべるだけで
充分空間の雰囲気が伝わりそうなのですが、
なんだか妙な敗北感の様な感情が。
ということで、紙面で眺めたときに写真に
負けないくらい存在感のある断面パースを
作ってみました。
今回のようなスキップフロア形式の建物の場合、
平面図だけでは構成がよくわかりません。
なので高さ方向のイメージが伝わる資料として、
また崖と間取りの関係性がわかるように
このような断面パースは役立つと考えました。
敷地部分は模型写真を利用して、建物部分は
手描きのスケッチのようにラフな仕上がりで
わかりやすいように。。。
何とか写真や文章と相まって読み手の目を引く
ようなページに仕上がればいいなぁと思います。
そして毎度のように同じ事を言いますが、表面上の
「建築」だけではなくて、施主の楽しい苦悩や人柄や
好み、現場で格闘した職人さんの事など、
裏側の目には見えない雰囲気みたいなもの
が少しでも伝われば良いなぁと考えています。
(あと、設計の頑張りも少しだけ。)
葛西 瑞都
2014年7月29日 (火曜日)
今年建築予定のお家のひとつに、
広いリビングのど真ん中に大黒柱がある
住宅があります。
しかも1階リビングと2階サブリビングの同じ位置。
階段の途中から見ると床を貫いているように見えます。
せっかくの大黒柱なら、子供が抱きついたり
よじ登ったりしやすい、太い丸太が良いですよね!
ということで丸太を探しに黒石市の
木材流通センターというところに
見学に行ってきました。
実は廻りの業者に「丸太を使いたい」って相談すると、
「高いよぉ~」とか、「太いのは無いよ!」とか
言われる事が多いのですが、、、、、、
ありました・・・!それも太さや樹種も様々!!
直径20cm位が良いかなぁと思っていたけれど、
30cm位もいいなぁ・・・と欲が出てしまいます。
↑この立派なヤツは樹齢100年以上の青森杉!
テンションが上がりっぱなしで大変でしたが、何とか
「また近いうちに来ます!」
と平静を装って見学を終えました。
つづいて、建て主のご家族お気に入りの、
丸太の柱があるとある建築へ移動。
雑誌なんかでたまに見かける、黒石市の
「ほるぷ子供館」という建物です。
いわば子供のための小さな図書館。というか遊び場。
実は設計した人は建築の教科書にも出てくる
巨匠建築家の菊竹清訓さんという方で、
僕の尊敬する建築家の師匠の師匠です。
外をうろうろしていたら、親切な従業員さんが
中へ招いてくれました。
子供が大好きそうな空間です。天井の低いところや
ロフトのような高いスペース、窓際のベンチ。
そして丸太の柱もしっかり確認!
直径は20cm位でしょうか。子供が付けたであろう
小さな傷がたくさんあって、最高でした!
ちょうど伺ったときは小さな男の子とそのお父さんが
いて、お話を聞くとなんとお父さんが子供の頃に
この建物でよく遊んだそうな。さすが築39年です。
親切な従業員さんに甘えて色々お話を
聴かせていただきました。
↑扉のように開閉する本棚。
↑子供が隠れられる机。
↑完成当時からあるリンゴのカーペット。
↑1975年発売の建築雑誌「新建築」。
マンガでいうと少年ジャンプの様な、
建築に携わる人なら必ず知っている雑誌です。
現在も発行されている雑誌ですが、
当時のものはおそらく東京の大きな
図書館とかにしかないです。超貴重品!
↑窓の外はリンゴの木。
↑外に出て、玄関で談笑。
天井が低いのがまた良い!入り口の高さも子供サイズ!
↑特等席のプーさん。
・・・最高でした。。。
良い建築を見て勉強になりました!
&
これで丸太のイメージはバッチリです!
あぁ早く使いたいなぁ。
まだ多少の課題はあるけれど。。。
早く使いたい!!
以上、「丸太探しの旅」でした!
葛西 瑞都
2014年4月17日 (木曜日)
3月の22・23日に「旭ヶ丘の家」の
オープンハウスが行われました。
天気予報ではもう春だというのに雪マークが
付いていたり、
場所も初めての人にはわかりにくそうだし、
来てくれる人あんまりいなそうだなぁ、
なんて油断していたらた~くさんの人達に
来ていただきまして、本当にありがとうございました!
今すぐにでも新しい家が欲しい人、
まだ具体的な計画は無いけれど
家を見るのが好きな人、
前にムツホームで建てたけど
様子を見にきてくれた人、
ご近所で工事中から
気にしてくれていた人などなど、
百人近い人達に観て頂く事ができました。
ほとんどの人達が家族連れでしたが、基本的に
僕がご夫婦とお話している最中、子供は僕なんかの
話を聞いてもつまらないのでふら~っと
お家の探検に出掛けます。
そしてなんだか面白そうな所を発見すると、
「パパ!ちょっと来て!早く!ママも!!」
みたいな感じで呼ばれたりするのですが、
僕はそれが嬉しくてたまらないのです。
子供は気持ち良い場所を探す名人なので、
そんな子供が感じたままの感想を聴けるのは
貴重なことです。
僕の説明の百倍くらい説得力のある
プレゼンをしてくれました。。。
家をつくる時には建て主さんからたくさんの
要望を頂きますが、それはあくまでも情報です。
ロボットの様に効率的に、事務的に設計しても
家は建つと思います。
でも、人の心に響くような、感覚に訴えかける
ような空間をつくろうと思うとそうはいかない。
簡単ではありません。
なので、本能のままに表現する子供達が段差
を使って遊んでくれたり、手造りのお風呂で
「ウチのもこれにしたい!」とか言ってくれたり、
思いがけないところで寝転んだりしてくれると、
何とか感覚に訴えかける設計ができたのかなぁ?
と嬉しくなります。
皆様、本当にありがとうございました!
ここで、来れなかった人のために
「旭ヶ丘の家」を写真でご紹介します。
長いので覚悟してください!
玄関を入ると、リビングへ上がる階段と
細長い土間(上足)があります。
↑玄関方向を見る。
↑階段の向こう側、突き当たりにはテラスが見えます。
↑土間は京都から仕入れた天然の墨を
混ぜ込んでいます。左官屋さんの手仕事の
跡が残る、お気に入りの素材感です。
↑ご主人に気に入っていただいた階段下の空間。
壁にはコンセント。
↑土間の黒と階段の黒が上手くマッチしてくれました。
土間は靴下でも滑らないし、足ざわりも良い!
↑土間の奥には主寝室があります。
↓はリビングの様子。
↑そもそもスキップフロアの構成にしたのは、
崖側の景色を様々な環境で眺められるように
したかったからです。リビングからは少し低く、
少し遠くから景色を眺めます。
↑リビングは2階の床面から1m位下がっています。
↑木の壁面に囲まれたくぼみの様なリビング。
ダイニング・キッチンはリビングを
見下ろせる位置にあります。
↑リビングから木製の階段を5段上がって
アプローチします。
↑階段の途中から操作できる位置に小さな扉が
あって、インターホンのモニター等が仕込まれています。
やっぱり小さな扉はかわいい。。。
↑キッチン背面には壁の仕上げと合わせた扉が
あります。食材やキッチン家電を全て隠したいという
ご希望から、食品庫をつくりました。
↑ダイニングからの眺め。
朝ごはんも夜のお酒も絶対おいしい。。。
↑テーブルセットは階段や手すりと合わせて、
鉄で製作しました。
少し重いですが上手くできました。
↑キッチン用に作った家具です。キッチン用品は
全て隠さなければいけない反面、ゴミ箱なんかは
いつも近くに置きたいよなぁ、、、と工事の途中で
気づいてご提案しました。
ゴミ箱を置く引き出し部分は本体から
離れて別個に動かせます。
上部がタイル張りの本体部分もキャスターが
付いていて移動が可能なので、料理中は
自分の好きなように廻りに置いて使います。
パン作りが好きということで、
パン生地をこねる作業台として、
または娘さんがお手伝いをする時に使えます。
↑ダイニングの照明は建て主が選んだブナコです。
↑ダイニングからは木張りのテラスに出られます。
天気の良い日は外でゴハンを食べられます。
↑テラスからの眺め。
↑キッチンの背後の 扉のひとつは水廻りに続いています。
↑1階と2階にある洗面台はどちらもタイル張り。
2階はモコモコしたかわいい白いタイル。
↑1階は青くて細長い、焼き物のタイル。
↑お風呂は2階のテラス越しに景色を
眺められます。
下半分が既製品のハーフユニットバス。 (TOTO)
壁には大工さんが青森ヒバを張りました。
香りが本当に良い!温泉気分に浸れます。
↑オープンハウスでも大人気で、
ひと通り見終わったお父さんが
「やっぱりもう一回!」と何度も見てくれたり、
子供にもお母さんも盛り上がっていました。
↑照明は船舶用のマリンランプ。
ここでもう一度リビングへ。リビングの奥には
将来2部屋に仕切って子供部屋にする
サブリビングがあります。
↑扉を閉めてリビングと仕切った状態。小さな
舞台のような空間が生まれます。
↑扉を開けてリビングと一体的に使える状態。
↑サブリビングに造ったキャスター付きの棚を
移動させて2部屋に仕切ることが出来ます。
面白いと思ったのは、棚の位置によって
広い部屋と狭い部屋をつくれること。
ご夫婦だけの暮らしになっても空き部屋にならず、
使い方に制限が無いのが良いです。
さて次は1階へ。
↑リビングの下には天井が低くてほの暗い、
ウォークインクロゼットがあります。
家族兼用なので廊下と主寝室から出入りできます。
(子供のおしおき部屋だそうです。)
天井高は190cm。不思議な安心感があります。
最後に、細かいところとか色々。。
↑階段まわりの細部
↑左がサブリビング。右がリビング。
突き当たりには、壁に見えるけど収納扉。
↑階段とベンチ。三角の隙間。 小さな窓。
↑1階にある3つの扉。
左は主寝室へ。
真ん中はトイレへ。
右はウォークインクロゼットへ。
以上です!
お付き合いありがとうございました!
外観写真も早く載せたいのですが
まだ外溝工事が残っておりまして、、、。
また次回ご紹介したいと思います。
葛西 瑞都
2014年4月 5日 (土曜日)
ここ最近毎日のようにブログを書いて
いますが、いよいよ「旭ヶ丘の家」の
オープンハウスが目前です。
最後の工程として、およそ8m×1.6mの
土間の仕上げが行われました。
今回は靴を脱いで歩き廻る土間なので
灰色のモルタル仕上げではなく、
もう少し落ち着いた仕上がりを目指しました。
ということで使うことになったのが墨を混ぜた
モルタルで仕上げる「墨モルタル仕上げ」
という、黒い土間床です。
まずはコンクリート土間の上に下地となる
モルタルを敷きこみ・・・
その下地が乾ききる直前に仕上げ用の
墨入りモルタルを敷いていきます。
使うのは「京の黒土間」というもので、
京都にある昭和元年創業の建材屋さんから
取り寄せました。
ただモルタルに墨を混ぜているだけではなく、
乾燥後に表面が粉っぽくならないように
白華防止剤というものが同封されていたり、
長年掛けて各々の成分がちょうど良いバランスで
配合されたりしているそうです。
仕上がりはバッチリでした!
何だか黒い一枚岩のような、このお家に
ピッタリの質感です。
(乾くともう少し褪せた黒色になるそう!)
嬉しかったのは、担当した左官屋さんが
少しでも表面の凸凹を無くするように、
夜遅くまでコテで均してくれたときのこと。。。
「他の職人がここまで仕上げておいて、
自分たちだけ中途半端な仕事はでぎねぇべよ。」
と、熱~い一言をくれたこと。感無量です!
作業が終わって時計を見ると23時30分!
こんな気持ちの入った墨モルタルはもう、
最高以外の仕上がりになるはずないよなぁ・・・。
いつにも増してコッテリ仕上がった「旭ヶ丘の家」。
色々な人が集まって、つくった事のない空間を
1からつくるのだから、思い通りにいかないことが
あったり、小さな間違いや手直しや、新たな発見が
あったりしました。というかその連続でした。。。
いよいよ明日はオープンハウス。。。
偉い建築家の人はよく、
「自分の建築を自分で語るほど、強引に感じ方を
押し付けるようで良くない!」といいますが、
恥ずかしながら話したいことがたくさんあります。
例えば小さなウォークインクロゼットについて。
例えば床の仕上げについて。
例えば家具について。
例えばこの家の成り立ちについて。
例えば暮らすご家族の人柄について。
例えば職人さんの頑張りについて。
ご来場、お待ちしております!
葛西 瑞都
2014年3月21日 (金曜日)
2013年に建てさせていただいた住宅について
掲載した実例集「ムツホームとつくる住まい 2013」が、
やっと、やっっっと完成しました。
本当は去年の年末か今年の1月くらいには作る
予定だったのですが、ズルズルと3月の終盤に
なってしまいました。。。
「旭ヶ丘の家」のオープンハウスにも何冊か
持って行きます。
ホームページからでもお取り寄せできますので、
2011、2012と合わせてご覧ください!
(もちろん無料です)
葛西 瑞都
2014年3月20日 (木曜日)
「旭ヶ丘の家」の造作家具のひとつに、
ダイニングテーブルと2脚のベンチがあります。
今回は階段や手すりなどに鉄を使っているので、
テーブルとベンチにも鉄を使ってみませんか?と
建て主のご夫婦にお話したところ、 2つ返事でOKを
頂いたので張り切って設計させていただきました。
せっかく鉄を使うので、鉄でしかつくれない
プロポーションが良いなぁ。。。という感じで
早速鉄骨屋さんと相談。手すりには丸い断面を
使いましたが、座面や天板が付く家具には
四角い断面の方がいいだろうとのこと。
3センチ角の鉄パイプでシンプルなフレームを
組んで、それに建具屋さんが天板と座面を
取り付けて完成しました。
テーブルの大きさはおよそ畳1枚分。真横から
見るとわかりやすいのですが、天板の大きさに
比べて厚みがとても薄い。。。鉄の強度があって
初めてつくれるプロポーションです。
そしてもうひとつ重要なことがあって、それは
成り立ちが明快でわかりやすいということ。
誰が見ても
「鉄のフレームに木の板が乗っているだけ。」
ということがわかります。
何か余計に厚みをつけて、隠れた内部で
細かな細工をしたりすると、成り立ちとしての
透明感が無くなってしまう様な気がしています。
(つくる方からすればつくりやすいのですが。)
なので精度も手間も必要な方法をあえて
選択しました。
ちなみにテーブルセットが置かれるのはここ↓。
建築の一部である手すりと、
家具であるテーブルとベンチ。
建築とか家具とかジャンル分けしないで
空間をつくる要素として、同じように考えてみると、
何だかまだまだ楽しい発見がありそうです。
葛西 瑞都
2014年3月19日 (水曜日)
現在仕上げ工事の真っ最中の「旭ヶ丘の家」
ですが、ちょっと面白い建具があります。
テーマは擬態。
一つ目はこの木製の壁面に造られた小さな扉です。
壁面にいきなり切れ込みが入って、カパッと
開いてしまうようなイメージ。
ブロンズの小さな取手と蝶番が付いています。
中にはインターホンのモニターと玄関ドアの
施錠を遠隔で操作するリモコンが仕込まれています。
こんなメカニックな物が丸見えにならないよう、
大工さんにひと頑張りしてもらいました。
そしてもうひとつは、キッチン背後のデコボコした
木製の壁面に造られた2つの扉です。
こちらの扉にはもはや取手すら無く、
壁の一部分がペコッとへこんでいるだけ。
これでも、ちゃんとした扉なのです。
左の扉はトイレやお風呂などの水廻りへ。
右の扉は食品庫へ続いています。
この壁面には大きな目地が入っているのですが、
壁面の目地と建具の目地がピタッと揃っています。
(本当に素晴らしい職人技!)
その目地に指を掛けて扉を開ける。。。
感覚としては、扉を開けるというよりも
壁をずらしているような、不思議な感じです。
元々この扉は「扉」っぽくないように、「壁」っぽく
造ることを考えてはいましたが、現場で実物として
実現させてしまう職人さんは本当に凄いです。
特に今回は、壁材を張る大工さんと、建具を造る
建具屋さんとの協力による合作!
見事な擬態が完成しました。
以上、カメレオンの様な2種類の扉のご紹介でした!
葛西 瑞都
2014年3月18日 (火曜日)
現場が終盤近くになってくるといつも、
「始めの感覚に立ち返ってみる」という
ことをしています。
「始めの感覚」っていうのは、まだ現場が
始まる前の設計中に思い描いていた
イメージなんかを、建て主のご家族とお話
していた頃の感覚。
設計という仕事は現場が進むにつれて、
いつしかその感覚が薄れて現場の都合や
数字、数量、工期のことばかりに
気をとられてしまいがちになってしまいます。
なので、きちんと最初に思い描いた所に
着地しているか、毎回確認しています。
↓まずは模型から。
↓続いて現場写真。
途中で問題にぶつかって悩むことも多々ありましたが
・・・なんとか、着地できたような気がします。。。
葛西 瑞都
2014年3月17日 (月曜日)