地鎮祭も終えて、いよいよ着工です!
葛西 瑞都
北津軽郡の鶴田町に建つ「早瀬の家」をご紹介します。
ご夫婦と2人の子供が暮らすための住宅で、
シンプルなイエ型をしています。
建物の末端部分にまとまった広さの「内庭」という
外部空間があって、リビングスペースが
延長されているような身近な距離感があります。
元々この空間を建て主さんにご提案した理由には
内部だけで完結しない空間をつくりたかった事と、
奥様が植物を触るのが好きなことがあります。
なので、内部に寄り添うような外部を
つくりたいと思いました。
床面積という数字的な大きさを飛び越えるための
空間でもあります。
内庭の大きなスケールと呼応するように天井は高く。
真上にある2階の床を60センチ位持ち上げて、
2階床の裏面がそのまま1階の天井。
構造材も現しにしています。
ハンモックや植物の鉢が吊るし放題です。
木で仕上げるリビング階段には小さなにじり口。
テレビボードの一部を踏み台にして進むと、
奥には畳敷きの小さな書斎があります。
このお家の隠れキャラ的な存在です。
キッチンの床はリビングに面した黒い土間が続いていて、
55センチ程下げることで掘りごたつテーブルに
座っている家族とキッチンに立つ人との高さを
合わせています。
写真の右側は加熱機器を組み込むステンレス天板、
左側はシンクを組み込む木製天板です。
次は内庭へ。
内庭はテーブルセットが置ける位の土間が
あって、植物たちに囲まれているような雰囲気です。
↑内庭とLDKとの関係がわかります。
物件紹介のページに無い写真も少しだけ。
(飛び石にはモザイクタイルの切れ端を
使いました。中々良い雰囲気です)
一応植栽の設計もしていて、家庭菜園や草花、
低木、中木を設えたいと思っています。
直射日光のあまり必要ない植物が植えられます。
モミジなど、季節感のあるものも良いですね。
次は2階へ。
LDKの真上にあるベッドルームは浮遊感のある
屋根裏部屋のような空間です。
吹き抜けに掛かるウッドデッキ製の渡り廊下の向こう、
2階の床面からさらに階段で3段上がります。
LDKと同じように全面開口で内庭と接していて、
空を近くに感じることができます。
天井は屋根の形で木で仕上げ、ここも構造材を
現しにしています。
実はこのベッドルーム、設計当初は「子供部屋」
という名前でした。(将来は2室に仕切る予定)
あまりに気持ち良さそうだったので子供だけズルい!
ということで部屋名を変更。
別にもう一部屋ある「元主寝室」がとりあえずの
子供部屋ということになりそうです(笑)
この細長いベッドルームには内庭上部の
両サイドにウッドデッキテラスがあります。
部屋着のままふらっと出て、
洗濯物を干したり景色を楽しんだり、
植栽に直接触れられると楽しいなぁとか
考えています。
地鎮祭も終えて、いよいよ着工です!
葛西 瑞都
2015年5月 1日 (金曜日)
弘前市の早稲田に、完成済みや進行中の
模型を展示したギャラリーがあります。
元々小さなスペースの中に大きな模型が
ゴロゴロと並んでいて、
ずいぶん前から飽和状態。
少しずつ藤崎町の本社に送ったりしながら
やりくりしている状態です。
そんなギャラリーで仕事をしているのですが、
たまにふらっと見学に来てくれる人がいます。
その中の、先日初めて来て下さったご家族との
会話の中で少し発見したことがあります。
いつも通りひとつひとつの模型について、
こういう建物になった経緯や理由などを
説明していたのですが、
その時、不意に
「こんなリアルな展示場初めてです」
と言われました。
はて、リアルとはどういうことかな??
よくよく考えてみると、
通常住宅の展示場というのは
見学する人に向けて全ての展示物が作られています。
写真や実物を展示して、
「こんなキッチンいかがですか?」
とか、
「このインテリア、格好良いでしょ?」
みたいなことを、なるべくリアルに
表現しています。
建てる家の未来像について、
こんなに素敵な家が建ちますよ!
というのが一般的だと思います。
それに比べると、こちらで展示している
模型達はほぼ全てが過去に造られた
実物と同じものです。
工事前に建て主さんとイメージを
共有するために製作して、自宅に
持ち帰ってもらいじっくり眺められ、
試行錯誤の役に立ったリアリティがあります。
たまにコーヒーの染みとか付いてたりして(笑)。
一般的な展示と決定的に違うのは、
それぞれの模型が過去の家づくりの様子を
伝えていることです。
よくよく考えてみると、ここで伝えたいのは
僕たちの家づくりに対する考え方とか、
建て主さんとの付き合い方みたいなもの
かもしれません。
表面上のココがカッコいいとか、
ココがかわいいとかを話すよりも、
内側に潜む、ココを決めるのに
みんなで悩んで苦労した!とか、
ココは子供の本能に委ねた!とか、
そこかしこにまつわるお話の方が面白いと
感じることもよくあります。
多分、家づくりを楽しむ秘訣のひとつは
「楽しく悩む」こと。それを考える時に、
今まで他の人達がどういうことで
楽しく悩んでいたかを垣間見られるこの展示は、
結構大きな意味があるかもしれないなぁと
感じる小春日和でありました。
葛西 瑞都
2015年3月17日 (火曜日)
僕がご提案するプランの中には
しばしば吹抜けが登場します。
前回のブログ書いているように、
吹抜けには空間を完結させない効果が
あるように思えるし、
家族同士のコミュニケーションが
生まれると考えているからです。
そんな吹抜けですが、
小さな建物であればある程
効果があると思っています。
小さな建物は1、2階に家族が点在
していても実は距離が近かったりするので、
少し床を取り払って小窓を設けるだけで
家族同士が繋がるからです。
例えば30坪程度のお家だとして、
子供部屋を少し切り詰めて5帖分位の
吹抜けを計画し、子供部屋と下階を窓で繋いだときに、
「良いと思うのでこのまま残してください」
と言われる場合があります。
建て主によっては
「もったいないから床にしてくれ」
と言われることもあるわけですが、
この建て主は
「10帖の子供部屋より広く感じるよ」
と笑ってくれました。
ここで考えたいのは、どの建て主が
良いとか悪いとかという話ではなく、
建て主の判断基準に訴えかける
アイディアについてです。
この建て主は多分、数字上の床面積は
減ってしまうけれど、本質的に広がりを
感じられるとイメージしたと思うのです。
今回はわかりやすく吹抜けを例にしましたが、
吹抜けに限らず、
建て主に自分の判断基準について
一度考えてもらえるきっかけとなるような
アイディアは、家づくりをしていく上で
結構重要なのではないか?
と考えるようになりました。
設計側も建て主側も初めは
手探り状態だった完成像が、
少しずつリアリティを持ち始める過程の中で、
良い意味で建て主を悩ませるアイディアを
考える事が、最近気付いた僕の課題です。
葛西 瑞都
2015年3月 4日 (水曜日)
空間には寸法の持つ不自由さというものが
あると思います。
建ち上がる建築は必ず高さとか長さとか
幅とか奥行きなどの寸法を持っていて、
それらを元に面積や容積を
計算することが出来ます。
すると、その建物が持つ広さは、
㎡とか帖とか坪などの単位で
数字に置き換えられます。
○㎡だから広い、○帖だから狭い
という判断基準ができてしまう。
確かに家具を置くために必要な
面積みたいなものは必要だと
思いますが、身体一つで空間を
感じてみる時、数字上の広さは
あまり重要じゃない気がしています。
例えば同じ床面積の部屋でも、
窓ひとつ無い完結した部屋よりも、
縁側なんかの半屋外空間と大きな開口で
繋がっていて気分しだいで
内で過ごすか外で過ごすか
選択できるような部屋で過ごす方が、
開放的で広々と感じるに決まっています。
部屋の向こうに続きがあるからでしょうか。
縁側みたいに大胆な仕掛けでなくても、
小さな吹抜けひとつあるだけで、
空を眺められたり2階にいる家族と
繋がることができます。
スキップフロアにして斜め方向の
繋がりをつくってみてもいいかもしれないし、
内装の雰囲気を変えるだけでも
違った広さで感じられると思います。
敷地条件や建物予算でほぼ
建物の数字上の規模は決まってしまいますが、
実際の床面積以上の広がりを
持つ空間をつくれると信じて
試行錯誤することで、寸法の不自由さから
抜け出したいといつも思っています。
葛西 瑞都
2015年3月 1日 (日曜日)
今年も春先から色々なプロジェクトが始まります。
工事が始められない冬の間に
机に向かって設計をして、
雪が融けたら工事を始める、
まるで農家の様な仕事のリズムで
毎日を過ごしています。
僕が設計を担当している、これから
建築予定の建物について、
まだ詳しくはご紹介できませんが、
縁側の様に身近に感じられる中庭を持つ住宅や、
雰囲気の異なる部屋がスキップフロア状に
連なって全体をつくっている住宅、
小さな子供を連れたお客さんも気軽に
利用できる小さなヘアサロンを併設した住宅など、
様々なプロジェクトを同時に考えている最中です。
僕は頭の中でそんな様々なプロジェクト
一つ一つに対して部屋を作り、
その都度、部屋を訪ねることで
一つのプロジェクトに集中して作業しています。
すると面白いことがあって、時々、
というか結構頻繁に、
他の部屋から横ヤリが入ってくるのです。
例えばある住宅の「キッチンとリビングの距離感」に
ついて考えていると、
他のプロジェクトのキッチンの事が
突然頭の中によぎって、
「あのキッチンは奥さんもリビングの
テレビが見えたほうがいいかなぁ」
という感じ。
そうこうしているとまた他のプロジェクトが
顔を出して、
「あのキッチンでは子供も一緒に
ワイワイ楽しめる感じに」・・・と、
気が付くと全部の部屋のプロジェクトが
一部屋に集まって、ザワザワ集会をしているような
感覚になるのです。
すると「あれ、最初何のことを考えてたっけ?」
みたいな事も度々あって困るのですが、
いつの間にか全てのプロジェクトを並列的に、
同時進行で考えていることは
そんなに悪くないなぁと考えるようになりました。
他のプロジェクトがあるからこそ
辿り着くアイディアもあったりして。。。
敷地も、建て主の家族構成や考え方も全く違うけど、
二人三脚のように一緒に進んでいく感覚は
中々にスリリングな楽しさがあります。
もうひとつ、頭の中の妄想についてお話します。
初めてお客様と出会ってから工事が
始まるまでの間、
特に基本設計の大まかな方向性、コンセプトが
決まるまでの間、
僕はたくさんのプランを描いてみます。
出口があるのか無いのかわからない迷路を
少しずつ手探りで進むように。
行き止まりにぶつかってしまうプランもあれば、
何本もの分かれ道に行き着くプランもあります。
その中で、僕なりにとりあえずゴールに
辿り着いたプランのプレゼン資料をつくり、
そこからはお客様と一緒に
迷路を進んでいくわけですが、
僕が妄想するのは
ゴールインできなかったプラン達です。
現実には実現しなかった建物がもし
実現していたら、
どんな物語が生まれていただろう?
ということです。玄関の位置やリビングの
日当たり加減、全てがまるで違う建物の、
その後をモンモンと妄想しているのです。
と、これまでの文章を今読み返してみると何だか
「コイツ大丈夫か?」
という感じがしてしまいそうですが、
2015年も楽しい、気持ち良い建物がたくさんできそうで、
ワクワクしております!!
葛西 瑞都
2015年1月27日 (火曜日)
年末のお引渡しに向けて設計・工事中の
大鰐町にある「下牡丹森の家」。何度か
ご紹介しましたが、シンボリックな丸太
の大黒柱が大きな空間の真ん中に
すっと建っている住宅です。
この写真でわかる通り、抱きつける位の太さです。
一階と二階の同じ位置に二本あるのですが、
一階は直径二十八センチ、
二階は直径二十六センチもあります。
一昔前の、いわゆる古民家という住まいでは
必ずといっていいほどこの大黒柱がありました。
そこで暮らしている家族が自分達の家の
一番重要な構造体のことをよく知っていて、
生活の中で身近な存在だったと思います。
よく子供の身長に合わせてキズを付けて
いたり、落書きしたり、よじ登ったりして、
暮らしと密接な関係がありました。
今回大黒柱のあるお家を設計しながら
考えたことは、構造体と家族との距離感です。
最近よく見かける住宅はどちらかといえば
構造体が壁や天井の中に隠れていて、
暮らしとは無関係なことが多いと思うのですが、
「下牡丹森の家」では構造としてだけではなく、
何気ない暮らしの中に馴染むような身近な
存在になればと考えました。
一階の天井は仕上げをほとんど省略して、
二階の床を支える梁なども現していますが、
大黒柱が二階の床を支えている様子が
よくわかります。
柱の頭や足元部分はなるべくシンプルに
したかったので、大工さんの知恵と技術
に頼りながら何とか上手く納めてもらいました。
いつも感心するのですが、僕の無茶な希望を、
四苦八苦しながら手作業で実現してしまう
職人さん達はやっぱりめちゃくちゃカッコいいですね!
二階は若夫婦と子供達がくつろぐための
スペースになっていて、一階と同じく
大きな空間の真ん中に柱が建っています。
南側は全幅の開口を設けてあって、
これから全幅の読書カウンターが付けられます。
日の差し込む方向とか、気分によって好きな位置に
椅子を置いてくつろぐカフェの様なゆるい空間です。
窓の外には隣家の屋根がまるでランドスケープの
ように見えます。
先日現場で建て主さんとお打ち合わせ中に、
奥様がご主人に何気なく、
「この柱に子供の背丈に合わせてキズつけられるね!」
と話しているのを聞いて、僕が想像する以上に素敵な
建築と住み手との関係性が生まれそうな予感に
ワクワクしている今日この頃です!
葛西 瑞都
2014年11月23日 (日曜日)
「下牡丹森の家」は大鰐町の、のどかで
のんびりとした場所に建築中の住宅です。
ご夫婦とまだ小さな男の子(将来はもっと増えるかも)や
親御さん達と合わせて7人家族。
初めから僕の設計で一番大事なことは、
家族みんなが自室にこもってしまうのではなくて、
無理なくワイワイ楽しめる
大らかな空間を考える事でした。
とても単純なことですが、小さな部屋を
たくさんつくるよりは大きなワンルーム
空間にして、そのなかで家族同士がちょうど良い
距離感や居場所を見つけられるように・・・。
その大きなワンルームの真ん中には
どっしり太い大黒柱を建てて、その柱を
中心に何となく向こう側とこちら側の距離感を
つくる一方で、大黒柱を中心とした
求心力の様な一体感が生まれると考えて、
設計が始まりました。その途中で建て主さんから
「柱は丸太の様な丸い柱が好きです。
子供が抱きついたりできるから。」
というお話があってこのお家の大きな骨格が
決まっていきました。
さて骨格の次は表層の部分ですが、
外観からインテリアまで建て主さんと
共有しているイメージは「普通」である事です。
もし建築業界にも流行みたいなものがあるなら、
そうではなくて普遍的な方が合っているので、
なるべく普通に・・・。
建て主さんご夫婦が、静かな物腰で話す
この「普通さ」というのは、激安坪単価
○○万円!の建売住宅の様な「普通さ」
ではなくて、建て主さんだけに似合う、
手間ひまかけたオーダーメイドの空間。
奇抜さは無いけれど、平凡ではない感じ。
「普通」に気持ち良い空間のことを考え
ています。
葛西 瑞都
2014年10月 2日 (木曜日)
八月末頃発売予定のグラフ青森発行の
住宅雑誌「住んでみたい青森の住宅」。
先日写真撮影も無事終えて、写真のデータが
手元に届きまして、
全体の構成やコンセプトの表現に
四苦八苦しております。
今回は初めての写真家さんだったのですが、
写真の出来がとにかく良い感じなのです。
撮影時から「こんなアングルはどうですか?
とか、何枚か撮るので後で良い物を
選んで下さい!」というような感じで
グイグイリードしてくれる人だったので、
出来上がりがいつも以上のクオリティに
なるのはなんとなくわかっていましたが。。。
↑外観写真。こちらの注文としては
①建物と崖との関係がわかるように。
②景色の良さが伝わるように。
③ご主人が頑張って敷いた芝生の庭が
良く見えるように。
・ ・ ・ 完璧。
そんな写真達をパラパラとならべるだけで
充分空間の雰囲気が伝わりそうなのですが、
なんだか妙な敗北感の様な感情が。
ということで、紙面で眺めたときに写真に
負けないくらい存在感のある断面パースを
作ってみました。
今回のようなスキップフロア形式の建物の場合、
平面図だけでは構成がよくわかりません。
なので高さ方向のイメージが伝わる資料として、
また崖と間取りの関係性がわかるように
このような断面パースは役立つと考えました。
敷地部分は模型写真を利用して、建物部分は
手描きのスケッチのようにラフな仕上がりで
わかりやすいように。。。
何とか写真や文章と相まって読み手の目を引く
ようなページに仕上がればいいなぁと思います。
そして毎度のように同じ事を言いますが、表面上の
「建築」だけではなくて、施主の楽しい苦悩や人柄や
好み、現場で格闘した職人さんの事など、
裏側の目には見えない雰囲気みたいなもの
が少しでも伝われば良いなぁと考えています。
(あと、設計の頑張りも少しだけ。)
葛西 瑞都
2014年7月29日 (火曜日)
おかげさまで最近結構忙しく、久々の書き込みです。
毎月お送りしているお手紙「mutsuhome letter」より。
かなり長い文章になってしまったので、
休み休み読んでみてください。。。
今回は現在進行中のプロジェクトのことではなくて、
僕の設計している時のモヤモヤとした感覚の
ことや、考え方の拠り所にしていることに
ついて書きたいと思います。
普段であれば進行中の現場の写真や
模型写真を並べてそれを説明するように
文章にしていますが、
自分の考えや悩みを客観的に眺めて、
それを文字に起こしてみるのは難しいです。
なんだか読みづらくて、結局何を言いたいのか
わからなくなってしまうかも知れませんが、
書いてみます。。。
まずは設計の始まりから。
オープンハウスやギャラリーに訪ねて
来てくれたご家族と出会って、世間話の
ような感覚で新しいお家に対する思いや
ご希望を伺います。
土地がまだ決まっていない場合には、
土地探しからお手伝いしたりします。
だいたいの資金計画や土地が決まったら、
いよいよお家のヒアリング。
設計の要となる間取りのご希望などを伺って、
いよいよ設計が始まります。
土地の形状をパソコンの画面上に落とし込み、
ヒアリングの情報を書き込んだ資料を
そばに置きながらあ~でもないこ~でもないと
頭の中の迷宮に入っていきます。
敷地に対する建物の大きさや形はどうか?
街並みの景観は?
ご近所さんに迷惑が掛からないような、
建物のぼんやりとした外形を決めながら、
同時に内部構成も考えていきます。
ヒアリングで伺った要望もなるべく取り入れ、
なんとか上手く色々なことが納まったなぁと
いうプランがそのうちできるのですが、
実はまだ「途中」です。
どこまでが途中でどこが完成なのかは
僕の中にしか答えは無いですが、ただ部屋を
パズルのように並び替えるような安易な
計画では、建て主さんの予想も想像も
超えるような楽しい提案はできないと思います。
じゃあなぜヒアリングで得た要望を
盛り込んだはずの図面に
魅力を感じないのでしょうか?
このへんが文章にするのが難しいところで、
一番大事な部分です。
僕は毎回設計する時に、なにか新しい空間を
提案できないかと考えています。
ここで言う「新しさ」というのは、
誰も見たこと無い奇抜なデザインのこと
ではなくて、その建て主だけにぴったり
フィットする、もしくは似合う空間のことです。
外に出ると同じ形で壁や屋根の色だけ違う
建売住宅が並ぶ住宅地がたくさんありますが、
そこで暮らす人達のライフスタイルは二つとして
同じものは無いはずです。
きっとその建て主さんのライフスタイルに
ピッタリ合う空間があるはずで、多分本人も
それがどういうものなのか考える機会もないまま、
わからないまま建物に人が合わせて暮らしています。
僕はそうではなくて、
その建て主だけに合う空間を発明したい。
建築はなんだか敷居が高く感じられがちで、
そのせいで抑えられている無意識の欲望の
ようなものがあると思います。
それが上手く引き出されて、その建て主だけに
似合う自然な空間をつくることが、
僕の考える「新しさ」だと思います。
そんな答えがどこにあるかも
わからないようなものをつくるのだから、
ヒアリングで得た要望を盛り込んだだけでは
納得できるわけがありません。
当然ながら、僕の独りよがりの提案で
良いわけもありません。
モヤモヤモヤ・・・
そしていよいよ初回プレゼンテーションの時。
伸るか反るか一発勝負!・・ではないんです。
特徴的なプランをご提案することが
ほとんどですが、どちらかというと
プラン自体よりも、今後家を一緒に考えていく
僕のスタンスを感じて欲しいなぁと思っています。
だから正直プランがそのまま実現するとは
全然考えていません。
建て主さん側も図面を眺めて初めて生まれる
大小様々な要望が必ずあって、初回のプランは
その要望を生むきっかけです。
ただ、凡庸で底の浅い提案では
そんなきっかけすら生まれないので、
最初から全力で取り組みます。
そして紆余曲折を経て形として家が完成し、
ふと今までを振り返って、自己採点と
次への目標を見つけることを繰り返しています。
その次へ繋がるっていうところが唯一拠り所。
以上、僕の頭の中をご紹介しました。
長文すみませんでした。はぁ~疲れました!
葛西 瑞都
2014年6月 5日 (木曜日)
今年建築予定のお家のひとつに、
広いリビングのど真ん中に大黒柱がある
住宅があります。
しかも1階リビングと2階サブリビングの同じ位置。
階段の途中から見ると床を貫いているように見えます。
せっかくの大黒柱なら、子供が抱きついたり
よじ登ったりしやすい、太い丸太が良いですよね!
ということで丸太を探しに黒石市の
木材流通センターというところに
見学に行ってきました。
実は廻りの業者に「丸太を使いたい」って相談すると、
「高いよぉ~」とか、「太いのは無いよ!」とか
言われる事が多いのですが、、、、、、
ありました・・・!それも太さや樹種も様々!!
直径20cm位が良いかなぁと思っていたけれど、
30cm位もいいなぁ・・・と欲が出てしまいます。
↑この立派なヤツは樹齢100年以上の青森杉!
テンションが上がりっぱなしで大変でしたが、何とか
「また近いうちに来ます!」
と平静を装って見学を終えました。
つづいて、建て主のご家族お気に入りの、
丸太の柱があるとある建築へ移動。
雑誌なんかでたまに見かける、黒石市の
「ほるぷ子供館」という建物です。
いわば子供のための小さな図書館。というか遊び場。
実は設計した人は建築の教科書にも出てくる
巨匠建築家の菊竹清訓さんという方で、
僕の尊敬する建築家の師匠の師匠です。
外をうろうろしていたら、親切な従業員さんが
中へ招いてくれました。
子供が大好きそうな空間です。天井の低いところや
ロフトのような高いスペース、窓際のベンチ。
そして丸太の柱もしっかり確認!
直径は20cm位でしょうか。子供が付けたであろう
小さな傷がたくさんあって、最高でした!
ちょうど伺ったときは小さな男の子とそのお父さんが
いて、お話を聞くとなんとお父さんが子供の頃に
この建物でよく遊んだそうな。さすが築39年です。
親切な従業員さんに甘えて色々お話を
聴かせていただきました。
↑扉のように開閉する本棚。
↑子供が隠れられる机。
↑完成当時からあるリンゴのカーペット。
↑1975年発売の建築雑誌「新建築」。
マンガでいうと少年ジャンプの様な、
建築に携わる人なら必ず知っている雑誌です。
現在も発行されている雑誌ですが、
当時のものはおそらく東京の大きな
図書館とかにしかないです。超貴重品!
↑窓の外はリンゴの木。
↑外に出て、玄関で談笑。
天井が低いのがまた良い!入り口の高さも子供サイズ!
↑特等席のプーさん。
・・・最高でした。。。
良い建築を見て勉強になりました!
&
これで丸太のイメージはバッチリです!
あぁ早く使いたいなぁ。
まだ多少の課題はあるけれど。。。
早く使いたい!!
以上、「丸太探しの旅」でした!
葛西 瑞都
2014年4月17日 (木曜日)