今年分のカレンダー

ふつうカレンダーは前の年の暮れに作成し

配るのですが、現在校正の最終確認中・・・。

毎年その年に建てた建物の写真を載せていて、

その撮影のタイミングによっては次の年にかかって

しまうこともあるのですが、もはや一月が終わろうと

しています、、、。

・・・やっと印刷まで漕ぎ着けました。

写真などをレイアウトしたデータを印刷屋さんに

入稿するので手間も時間もかかるのですが、

一年間皆さんに眺めていただくものなので

全力で取り組みました。プロの仕上がりとは

違いますが、やさしく、寛容な目線で眺めて

いただけたら嬉しいです。

葛西 瑞都

 

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「中野の家」完成写真。

2012年の11月に完成した「中野の家」は、

今年の2月頃発売の青森テレビが発行する

「wagaya」という雑誌に掲載されます。

雑誌の編集者と打ち合わせを繰り返して

やっと校正が完成したところで、写真の

データが届いたので一足先にご紹介します。

↑前面道路から見た外観です。

敷地は道路面から80cm位上がっていて、

ゆったりしたスロープ状のアプローチから

入っていきます。すぐ左手にインターホンと

ポストがあって、現在はインターホンの上部

に表札が付けられています。

↑数m進むと右手には薪小屋が。

自転車を停めるスペースもあります。

ガレージ内の玄関から中へ入ると、薪ストーブ

のある土間スペースがあります。

中に上がって振り向くと大きな開口の向こう

にガレージに停車している愛車を眺めることが

できます。インターホンを敷地の入り口に配置

したのは、この開口面をつくるためです。

階段を上がっていくと、愛車を見下ろすような

視点になります。スキップフロアの構成を

ご提案した理由は、この愛車と庭をどこから

でも、また色々な距離で眺められるようにと

考えたからです。家族同士の距離感にも

多様性を生んでいます。

↑階段からキッチン方向を見ています。

キッチン上部には宙に浮いた渡り廊下が

あります。

キッチンは天井が2.1mと低い代わりに

スリット状の吹抜けがあります。

そのスリットから上にいる子供や、上部に

見えるパソコンコーナーのご主人と会話

できます。背後の壁いっぱいの棚は、

どの高さまでをキッチンで使うかは気分に

よって決めます。

壁面棚は地震時に物が下に落下しないように、

手前部分にひっかかりを付けています。

雑貨を飾ったり箱を並べたり、暮らし方によって

使い方は様々です。パブリックな空間と

プライベートな空間との間にあって、この棚の

前を歩いて気分を切り替えます。

キッチン上部の渡り廊下からは家中の様子が

伺えます。↓の写真ではリビングと小上がりの

畳スペースが。下方向にはダイニングが

見えます。階段状の段差は、本棚になったり

蓄熱暖房機が仕込まれていたり、腰掛けたり

大人と子供の視線を近づけたりと様々な

効果を生んでいます。

水廻りは少し距離感が欲しいというご希望が

ありました。実際以上の感覚的な距離感を

つくるために、キッチンそばの縁側のような

空間を通ってアプローチします。仕上げの

素材も外部と合わせていて、外の離れに

行くような雰囲気です。

と、雑誌の文章よりもざっくり書いてみました。

たぶん来月には書店に並び始めますので、

見かけたら一度手にとっていただけたらと

思います。

葛西 瑞都

 

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あけましておめでとうございます。

新年、明けましておめでとうございます。

仕事始めは4日からだったのですが、

お客様からいただいた年賀状を読んで

いると「平岡の家」のお客様から嬉しい

文章がありました。

「素敵な家を建てて下さりありがとう

ございました。家族5人で私たち色に

していきます!」

という内容でした。やっぱり最初のうちは

誰でも新築の家を汚さないように、キズを

つけないように慎重に住み始めると思う

んですが、それではあまり楽しくないような

気がしています。少しくらい壁にぶつかっても

子供達には走り回ったり段差からジャンプ

したりして遊んで欲しいし、ご夫婦にも

おじいちゃんおばあちゃんにも気軽に

暮らして欲しいと思っています。

なので「平岡の家」のお客様からいただいた

文章を見たときにとても嬉しい気持ちに

なりました。そこかしこに家具や雑貨や道具が

置かれて、大きな植物がリビングにど~んと

居座っている頃、遊びにいきたいと思います。。。

・・・ともうひとつ。

2013年もいよいよ始まり、おかげさまで今年も

忙しくなりそうです。「お盆前までに建てたいです」

というお客様が増改築含めて10棟ほど予定されて

おりまして、以降のお客様はお盆前までのお引渡し

は難しいものがあります。少ない人数で手間ひま

かけてひとつの住宅を造り上げておりますので、

お声をかける時はなるべく早めにお願い致します。

それでは今年も、ムツホームを宜しくお願い致します。

葛西 瑞都

 

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今年のこと、来年のこと。

今年はおかげさまで本当に忙しく

過ごさせていただきました。

僕の担当した住宅は

建物の中心部に静かな外部空間を

もつ「東城北の家」から始まり、

路地状の外部が建物を貫通している「榊の家」、

床を様々な高さに設定して家族同士の

多様な距離感を考えた「中野の家」、

広場のような開放的なリビングに

3層構造の内部空間が隣接している

「平岡の家」の4つを設計しました。

「あの住宅の確認申請の準備」とか「こ

の現場の施工図面」とか「新しい建て主

さんとのヒアリング」とか色々な作業が

同時に進行する中で、さらにそれぞれの

建物が完成するまでにはいろんなコトが

変わっていって、いろんな人が関わって

ズレていったり、もどったり。。。

どの住宅も建て主や現場の業者と一緒に

悩みながら、楽しみながら取り組むこと

ができました。今年の春先には、念願の

「ムツホームギャラリー」もオープンし

お客様との距離感もさらに近くなったと

思います。

そして来年には、5つの中庭をもつ公園

のような平屋「高田の家」をはじめいく

つかのプロジェクトが動き出しています。

緊張感と高揚感と使命感と素敵な予感を

抱えたまま、この先もがんばっていきた

いと思います。

葛西 瑞都

 

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「出発」と「到着(仮)」

「平岡の家」が何とか建て主のご希望

通りの日程で工事完了しました。

少し資料を掘り返してみると、初めて

プランを提出したのが2012年の4月。

細かい変更を繰り返して7月に模型を

お見せして、ワイワイ盛り上がりながら

工事が始まっていったのですが、その

「出発」した時にみんなで思い描いた

イメージから逸れることなくここまで

これたかどうか?法規やコストのこと、

設備の話、材料は?色は?など、

考えて悩んで完成に漕ぎ着けて

ふっと後ろを振り向いたときに、

全然別の場所に迷い込んでないか?

そんな目に見えないことを意識

しながら設計しています。

大事なのは建て主と同じ目線で一緒に悩んで

決めること。何とか出発時に思い描いた以上の

仕上がりになったかなぁと思います。タイトルの

「到着」を(仮)としているのは、とりあえず工事は

終わったけれど、この家での生活はこれから

始まるからです。年末年始は引越しの最中で

ゴチャゴチャでしょうから、落ち着いたら是非

お邪魔したいと思います。大きく育つ予定の

リビングに置く植物や家具、雑貨たちが建築と

馴染んだ頃に。。。

葛西 瑞都

 

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「高田の家」 5つ庭の住まい。

現在基礎工事が進行中の「高田の家」を

ご紹介します。

敷地は弘前市の市街地から少し通りを入った

住宅地にあります。周りには既に住宅などの

建物が立ち並んでいるため、空を狭める2階

建てではなく高さを抑えた平屋建てをご提案

しました。

建て主は当初から中庭のある生活、いわゆ

るコートハウスに対する憧れがあり、防犯上

の理由からもプライバシーの保たれた外部

空間をご希望でした。

僕は以前から雑誌やテレビでなどで大きな中庭を

内部空間がくるっと包んでいる形式の住宅を見る

たびに、何となく中と外の関係に窮屈さを感じて

いました。中庭が建物に閉じ込められている様な

雰囲気で、中庭に出ても少し開放感が無いような

気がしていました。

そこで提案したのが、大きな中庭をいくつかに

分けてそれぞれに違う役割を与え、それらを

各生活ゾーンの間にはめ込んだプランです。

LDK、ベッドルーム、水廻り、ゲストルームなどは

中庭によって柔らかく分けられ、部屋を移動すると

必ずいくつかの中庭のそばを通ることになります。

また全ての居室が中庭に面しています。

従来の内部が中庭を囲む関係だけではなくて

内部が中庭に囲まれる部分をつくることで、風通し

の良い開放的な空間になると考えました。

視線の抜けにも配慮していて、玄関→中庭→

多目的スペース→中庭→主寝室→外部、という

ような視線が貫通する部分をつくっています。

各中庭に与えた役割としては、

①最も広く家族みんなでワイワイ騒げる、

シンボルツリーのある中庭。

②浴室や和室から眺める坪庭の様な中庭。

③物干しができて、上部にはロフトから使える

小さなベランダがある中庭。

④リビングのテレビボードの先にある、植栽の

彩りを楽しむ中庭。

⑤2つある子供室からのみ出入りできる、子供達

専用の中庭。

という感じです。

動線としては最も広い中庭を含むとても大きな

回遊動線(1周約20メートル)を中心に、それぞれの

ゾーンに分岐していく動線です。体験としては

ひとつの建物の中を歩き回るというよりは、小さな

公園を散策するような感覚になると良いなぁと

考えています。ある建築家が「おおらかな動線を持つ

30坪の住宅は40坪の総2階建てに匹敵する広がり

を持つ」と執筆しているのですが、この住宅では内部に

外部が点在することでどこまでも内部空間が延長

されていくような広がりが生まれればと思います。

葛西 瑞都

 

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オープンハウスのご案内

青森市新城の「平岡の家」のオープンハウスを

行います。12/22(土)10:00~17:00

着工前に作った模型と工事中の現場を

比べて、きちんと初めにお客様と共有した

イメージになっているか。。。

建て主のY様は現場に来るたび

「本当に自分が住んでも良いのかしら。

こんな素敵なお家に!」

とワイワイ楽しみながら

お打ち合わせをしてくださいました。

本当はオープンハウスに来て下さった人

みんなにそんなお話を伝えたいのですが

僕が話せば話すほど見る人に先入観を

与えてしまうので、観たまんまを感じてもらい、

「あ~これは住み手も造り手も苦労した

だろうけど、楽しかっただろうなぁ~」と

思ってくれたら嬉しいです。

葛西 瑞都

 

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今年の印象に残った言葉

今年は定年退職のスタッフと新しい

スタッフとのメンバー入れ替えがあり、

その中でもありがたいことに仕事量は

凄まじいものがありました。

当然様々なお客様との出会いもあり、

工事中に赤ちゃんが産まれるご家族や

おじいちゃんおばあちゃんと一緒に暮らす

三世帯のご家族。今住んでいる土地に

建てかえる人もいれば新しい土地を探す

人もいらっしゃいますし、、、。

将来自分の家で開業を考えている人も

いれば、隠れ家のようにひっそりと暮らしたい

というご家族もいらっしゃいました。

そんな中で、ある若いご夫婦からいただいた

言葉がとてもうれしくて印象に残っています。

工事中の現場でお打ち合わせ後の雑談中に

「なぜムツホームを選んでくれたんですか?」

というような話になりまして、、、

「私たちは予算も少ないし葛西さんにも迷惑を

掛けていると思います。雑誌を見たり展示場を

廻ったりしていると坪単価○○万円!なんかの

安く建てられる所がありますが、食事に例えると

カップラーメンを食べている様な気分なんです。

たしかに安いんですけど、、、。

私たちは同じお金を払うなら、おふくろの味

みたいな手作りの料理がいいんです。」

・ ・ ・ というお言葉をいただきました。

初めて自分の仕事を客観的に考えてみる

きっかけになった、とても印象的なお話でした。

これからもコテコテの手作り料理をつくって

まいります。。。

葛西 瑞都

 

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建築の大きさのこと

「中野の家」を設計していた時に考えていたことがあります。

それは建築物の大きさについて。空間や建物の大きさの

感じ方を表す「スケール感」という言葉があって、たとえば

敷地の広さと建物のボリュームのバランスや床面積と

天井高さの関係など様々な場面で意識して考える要素

なのですが、「中野の家」では主に3種類のスケール感を

考えながら設計していました。

まず一つ目は住宅本体と敷地との関係性。

敷地の背後には店舗の駐車場が隣接していて、隣地との

プライバシーを確保しつつ敷地に大きな余白を残したいと

考え、建物の形状を敷地の間口いっぱいに広げています。

大きな敷地と建物とのバランスを考えたスケール感です。

二つ目は薪小屋と使う人との関係性。この薪小屋はなるべく

使う人の身体感覚に近い大きさになるよう考えました。

公園の遊具やバスの停車場のように最小限の大きさに

留めて「建築」と「家具」の中間くらいの存在感を目指しました。

三つ目はアプローチの表札・インターホンと

ポストとの関係性です。敷地の入口にはインターホンと表札を

組み込んだコンクリートの立ち上がりと、お客様が自ら選んだ

かわいいポストが仲良く並んでいます。

コンクリートの立ち上がりを家具や雑貨の様な小ささで

造ることで、ポストの存在感が周囲となじむように考えました。

「中野の家」ではこれらのような大中小のスケール感をもつ

建築をつくって、使う人と建築物との関係が多様になるように

考えました。 

11/3,4のオープンハウスに来てくださった皆様、

施主のO様、ありがとうございました!

葛西 瑞都

 

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完成度の割合

僕はいつも建物と関わるときに考えていることが

あります。毎回色々な人達と出会って、始まりは

ヒアリングから完成まで山あり谷ありで

プロジェクトは進んでいくのですが、

その完成後のオープンハウスでは

「この建物は瑞都さんが全て考えているのですか?」

という風な質問をよく受けます。

設計した側としては

「はい、全て僕が考えて提案しています!」

と言えれば格好いいのかもしれませんが

実は全然違うのです。。。

実質僕の占める完成度の割合は五割位でしょうか?

残りの五割のうち二割は大工をはじめとする

現場の職人さん。こちらがつくりたい空間に

仕上げるために、図面と現場を何度も見比べながら

例え手間が掛かっても休みを削ってまで仕事を

してくれる事もあります。。。

そして残りの三割は建て主であるお客様。

たとえば「ここの壁は外部のテラスと続いている

ように見えると居心地が良いと思うんですが~・・・。」

とお客様に話したときに一緒になって頭をひねって

悩んだ末に、

建て主→「よし、それでいきましょう!!せっかくなら

天井も床もテラスと合わせたいのですが!?」

僕→「外部用の材料なので少しザラザラしてますが?」

建て主→「全っっ然平気です!!」というような、

お互いにワクワクしながら物事がどんどん

決まっていくような過程がとても重要な気がしています。

だから最初のような質問が投げかけられた時に、

「僕が全部考えてつくりました」

とは口が裂けても言えないんです。

なので僕の割合は半分です。

十一月二日と三日のオープンハウスでは、

そのような僕とお客様、もしくは僕と現場の

職人達との過程を想像しながら

見学していただければと思います。

今後オープンハウスを行う予定の住宅模型も

展示しますので、たっぷり時間をかけて過ごして

いただければ嬉しいです。

葛西 瑞都

 

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